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第4章 秋雨

　不倫をされている女性と、不倫相手の女性。それから、立ち直っていく女性。彼女たちの回想シーンを挟みながら見ているせいか、どの女性にも満遍なく感情移入してしまう。

　そして、やっぱりセックスレスは不倫の原因になり得るのだと思い知らされた。
　これは映画の中の女性の話で、作り物だとわかっているけれど感情が追い付かない。

　セックスレスが原因。セックスレスが原因。頭の中をぐるぐると旋回する。

　小さくため息のような声を洩らし、わたしはそっと目を閉じた。
　先日アルバイト先で見た、あの情熱的なふたりの姿が目蓋の裏にチラついた。　
　限られた時間の中、できるだけ多くの愛を交わそうとしていたふたり。
　　
　もしも今、はじめの前に魅力的な女性が現れ、彼を誘惑したとしたら……。
　いいえ、『そんなこと』にはならないわ。だって、さっきだってそう思ったじゃない。はじめは『浮気をしない人間』のほうだと……。

　でも、もしも……。もしも、わたしなんかよりもずっとはじめに似合う女性が現れたら？
　はじめが『浮気をしない人間』だとしたら、わたしが彼を解放しない限り彼は自由にはなれない。彼に似合う女性が現れたとしても、わたしの存在が彼の足かせになってしまう……。