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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第6章 飛翔
 はじめと久しぶりに身体と身体で結びつくことのできた翌日、わたしたちは揃って筋肉痛に悲鳴をあげることになった。それでも、その痛みさえも幸福なものだと感じた。

「新しいスーツを買いに行こうかなぁ」

 彼がお味噌汁の入ったお椀を置いてから言った。
 彼の好きなたまねぎとじゃがいものお味噌汁。そのふたつの野菜は少し炒めてから煮てある。

 彼の好物や、一番最初にそれに箸をつけること、喉仏の動き方、猫舌なこと、わさびは好むが辛子は苦手だというところ……いっしょに暮らす中で当たり前のように目にするそれらを、わたしは宝物のように胸の中にひとつずつしまっていく。
 彼自身はあまり意識をしないこと、それらが愛しくてたまらない。

 彼の一部を自分の中に取り込めたという事実が自信に繋がる。
 自信は余裕をうみだし、しまい込んで忘れかけていた宝物に気づくことができる。

 肌を合わせることはわたしたちにとって最重要なことではないけれど、その素晴らしさをわかちあうことで、お互いをより深く確かめ合うことができるものだと感じた。

「あら、そろそろ買い替えの時期?」

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