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第6章 飛翔

　ゆっくりと言葉を交わしながら、お互いのことを知っていく。
　食べ終わったあとに残るのは、あたたかな幸福感と満たされた安堵感。

　ほうじ茶を飲みながら、わたしたちは微笑みあって明日や未来の予定を話し合う。
　うぐいす色の急須とおそろいの湯のみ。
　きっとこのやり取りは、これからも変わらない。

「あのお店、クチコミで利用者が増えて予約を取るのが大変だって先輩が言っていたよ」

「そうなんだ、わたしたちもお役に立てているのかしら」

「そうだといいな。知り合いが来たらどうしよう？」

「お客さまの側にわたしたちの姿は見えないけれど……声でわかっちゃうかもしれないよね」

「れみは見られることに興味はないの？」

「わたしははじめに見てもらえるだけでじゅうぶん。ふたりの行為を見られちゃうなんて……ダメ、想像しただけで逃げ出したくなっちゃう。恥ずかしいよ」

「俺も、見るのは楽しいけど見られるのは恥ずかしいな。いろんな愛のカタチがあって、おもしろいよね」

　ほんとうに、世の中にはいろいろなカップルがいる。
　秘密にしなくてはならない関係のふたりや、同性同士のカップル、見られることでさらに燃えあがり、延長を希望するカップル……いろいろなふたりを見てきた。