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恋はいつでも平行線【完結】
第27章 *二十七*
 目が覚めると、部屋は真っ暗で、そして、布団の上にわたし一人だけが寝ていた。
 しん……と静まり返った部屋に、ぼんやりする頭で考える。

 奉納の舞いの神楽に合わせて、青に抱かれた。
 抱かれすぎて、それが気持ちいいのか、なんなのか、すでに感覚が麻痺していて分からないけれど、でも、今までに感じたことがないほどの快楽を与えられた……と思う。
 思い出すだけでじんわりと蜜があふれてくるような気がするから、気持ちがよかったのだと思う。

 それはともかく、いつも一緒に寝てくれていた青の気配がまったく感じられない。
 どうして?

 身体を起こそうとしたけれど、イキすぎたせいなのか、力が入らなくて、寝返りを打つのも一苦労だ。

 時間をかけてゆっくりと身体を伏せて、それから、廊下ではなく、縁側へと続くふすまに這いよってそっと開けて──息をのんだ。

 雲一つない空には満月が浮かんでいて、その下に、青と──青に向き合った臣哉が立っていた。

 ……って、え、なんでここに臣哉がいるのっ?

 二人は睨み合ったまま、しばらく動かなかったけれど、そよと頬を撫でる風が二人の前髪を揺らした後、青が口を開いた。

「遅かったな」

 青白い月の光しかないけれど、青の顔色がひどく悪いことがここからでもよく分かった。
 対する臣哉の顔は、俯いているせいでよく見えない。

「柚希なら、何度も抱いたから」

 青、どうしてそういうことを臣哉に言うのよ!
 事実だけど、わざわざ伝えなくてもよくないっ?

「──で、それで?」

 臣哉からは、聞いたことがないくらい冷たい声が返ってきた。
 え、怒ってる……の?

「柚希はおまえのこと、嫌いだって」
「知ってる」
「デリカシーがないし、無理矢理ヤルし、大っ嫌いって」
「知ってる。だからなんだ?」

 青も青だけど、臣哉もなにそれ。

「別に柚希に好かれようなんて思ってない」
「へー。必死になって探し回っていたくせに?」
「……それとこれとは別だ」

 探し回っていた……?
 それ、どういうこと?

「オレだって柚希のこと、嫌いだ」
「へー?」
「あいつのこと、嫌いだけど、身体は好きなんだよ」
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