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恋はいつでも平行線【完結】
第27章 *二十七*
 臣哉らしい回答だけど、すっごく最低じゃない?
 それは青も思ったみたいで、呻き声が聞こえた。

「なにそれ。身体が目当てで、血相変えて探し回ってた?」
「そうだ。それ以上はない」

 分かっていたこととは言え、それ、本当にひどい。
 そんなヤツにわたし、初めてを奪われたの?

「今なら、照れ隠しだって言えば信じてあげるよ」
「照れ隠しでもなんでもない。柚希以上に身体の相性が合って、見た目も好みで、オレのことを愛してくれる人がいるのなら、そっちに行く」

 知ってたけど、臣哉ってほんと、最低最悪だ。
 青もわたしの身体……蜜が目的だけど、それでもまだ、好きだ、愛してると言ってくれて、大切にしてくれる。
 でも、臣哉は本当にわたしの身体だけが目的みたいで、わたしに対する愛情はひとかけらも見当たらない。

 分かっていたのに……臣哉の口から事実を伝えられると、どうしてだろう、胸が痛くて、涙が出てきた。

「それはおまえが本当に思っていること?」
「オレの考えだが」
「……今なら、呪われているせいでそんなことを言ってるって言えば、まだリカバーできるよ」
「そんな必要なんかない。柚希はただでオレの性欲を満たしてくれる、都合のいい女でしかない」

 いやいや、青。
 これ、呪われていてそう言っているとしても、許されないことだと思うのよね。

 わたしだって、臣哉のこと、好きじゃない。むしろ、大っ嫌いだ。

「あーあ、ほんっと、あんたって最低だよね」
「……初対面の男に最低と言われる筋合いはないが」
「いやいや、ちょっと自覚してくれないか? 初対面の男に、最低といわれるくらいひどいことを言ってるってこと」

 青の言葉に、臣哉はたぶん笑った。
 見えないけれど、満月の下の澄んだ空気が震えたような感覚で、なんとなく分かった。

「ところでおまえ、だれだよ」

 そこでようやく、臣哉は青に向かって質問を投げかけた。
 自己紹介済みかと思ってたら、違っていたのか!

「水野青」

 青って苗字があったんだ。
 ……というか、水野って、水の青ってことっ?

「だれだよ。柚希の親戚か?」
「違うよ。柚希の彼氏」
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