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恋はいつでも平行線【完結】
第29章 *二十九*
臣哉の冷たい視線に、ゆらゆらと、まるで水の姿になった青越しに見るみたいな視界になった。
臣哉に嫌われているということは、彼の言動で知っていた。
それでも、仕事上では普通に接してくれていたから、気にしないようにしていたのだけど……。
今まで、会う度に探るような視線を向けられたことはあるけれど、こんなに冷たい視線を向けられたことはなかった。
どうやら本格的に嫌われてしまったらしい。
嫌われた理由は、今、臣哉が言ったことがすべてなのだろう。
だけど、反論させてほしい。
臣哉に処女を奪われたことは事実だ。そこは、悲しいかな、覆らない事実だ。
臣哉に処女を奪われたけれど、しかし、イコール、わたしは臣哉のモノ、というのはおかしくないだろうか。
それよりも、そもそもあれは、合意の上ではなかった。
もしも時間が戻せるのなら、あの時点に戻って、なかったことにしたいくらいだ。
とはいえ、残念ながら「なかったこと」にはできないため、この事実を知ってしまった敬人伯父さんは、わたしの意向なんてお構いなしに勝手に柏家と話を進めて、臣哉と結婚することになってしまった。
わたしと結婚することに関しては臣哉は同意していたけれど、わたしは同意していない。
ということは。
わたしが臣哉以外の人とどういう関係になっても、浮気にはならないと思うのだけど、それはわたしが都合がよいように解釈しているだけだろうか。
わたしの認識では、臣哉は婚約者候補でしかない。
だから、ここに第二の候補者である青が出てきて、わたしと良い関係になったとしても、問題ないと思う。
……まあ実際は、青とは結婚なんてできないのだけど。
ということで、臣哉に反論をするために口を開いたのだけど。
「わたし……はっ」
臣哉に嫌われているということは、彼の言動で知っていた。
それでも、仕事上では普通に接してくれていたから、気にしないようにしていたのだけど……。
今まで、会う度に探るような視線を向けられたことはあるけれど、こんなに冷たい視線を向けられたことはなかった。
どうやら本格的に嫌われてしまったらしい。
嫌われた理由は、今、臣哉が言ったことがすべてなのだろう。
だけど、反論させてほしい。
臣哉に処女を奪われたことは事実だ。そこは、悲しいかな、覆らない事実だ。
臣哉に処女を奪われたけれど、しかし、イコール、わたしは臣哉のモノ、というのはおかしくないだろうか。
それよりも、そもそもあれは、合意の上ではなかった。
もしも時間が戻せるのなら、あの時点に戻って、なかったことにしたいくらいだ。
とはいえ、残念ながら「なかったこと」にはできないため、この事実を知ってしまった敬人伯父さんは、わたしの意向なんてお構いなしに勝手に柏家と話を進めて、臣哉と結婚することになってしまった。
わたしと結婚することに関しては臣哉は同意していたけれど、わたしは同意していない。
ということは。
わたしが臣哉以外の人とどういう関係になっても、浮気にはならないと思うのだけど、それはわたしが都合がよいように解釈しているだけだろうか。
わたしの認識では、臣哉は婚約者候補でしかない。
だから、ここに第二の候補者である青が出てきて、わたしと良い関係になったとしても、問題ないと思う。
……まあ実際は、青とは結婚なんてできないのだけど。
ということで、臣哉に反論をするために口を開いたのだけど。
「わたし……はっ」