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恋はいつでも平行線【完結】
第30章 *三十*
なんだか、ありがちな詐欺のパターンのにおいに、思わず顔が引きつった。
「彼は親友の連帯保証人になっていて、今日中にどうしても一千万円ほどの金が必要だと彼女に話した。彼女には貯金があったけれど、さすがに一千万円はなく、どうすればいいのか分からず途方に暮れていたところ、運良くそこに宝石商が通りかかり、彼女がしていたブレスレットを見て、即金で一千万円で買い取りたいと言われて、彼女はその話に飛びついて、ブレスレットとお金を交換したというんだ」
「……絵に描いたような詐欺ですね」
思わず感想を告げると、青も小さくうなずいて、笑った。
「彼に助かったと泣いて喜ばれ、彼女も彼の役に立ったことに嬉しく思っていた」
これはひどい。
「そして、それっきり、彼女は彼と連絡が取れなくなった。結婚式、一ヶ月前にして、だ」
「うわぁ」
「彼女は必死になって、彼を探した。だけど、彼の語った話はすべてが嘘で、そして……彼女はすべてを失った」
「……え?」
「彼女は彼を信じて、結婚式の式場をぎりぎりまで解約しなかったんだよ。でも、彼は現れず、式は取りやめ。キャンセル料は彼女が払った。それだけではない。彼は結婚したら働かないで家にいて欲しいと言っていたため、仕事も辞めていたんだ」
「…………」
「さらには、結婚したら一緒に暮らそうと言って、借りていた家はすでに解約していた」
最悪じゃない、それ。
「それだけではなく、まだあるんだ」
「え……」
「彼を救ったと思ったあのブレスレット」
「…………」
「ぼろぼろになった彼女の前に現れたのは、あの宝石商。そして彼は開口一番、『偽物を押しつけやがって!』だった」
なにそれ、どういうこと……?
「宝石商曰く、本物だと思ったから一千万円の即金で買い取ったのに、よくよく調べたら、あれは巧妙に作られた偽物だった、だから金を返せ、さらには嘘をついた違反金として、さらに追加の一千万円の賠償金まで請求してきた」
うわぁ、それはひどい。
「彼女はそんなことを言われても訳が分からなくて、これは彼からもらったもので、事情がわからないから、彼に話を聞いて欲しいと言ったのだけど、宝石商は聞く耳も持たず、彼女に返済を迫った」
「彼は親友の連帯保証人になっていて、今日中にどうしても一千万円ほどの金が必要だと彼女に話した。彼女には貯金があったけれど、さすがに一千万円はなく、どうすればいいのか分からず途方に暮れていたところ、運良くそこに宝石商が通りかかり、彼女がしていたブレスレットを見て、即金で一千万円で買い取りたいと言われて、彼女はその話に飛びついて、ブレスレットとお金を交換したというんだ」
「……絵に描いたような詐欺ですね」
思わず感想を告げると、青も小さくうなずいて、笑った。
「彼に助かったと泣いて喜ばれ、彼女も彼の役に立ったことに嬉しく思っていた」
これはひどい。
「そして、それっきり、彼女は彼と連絡が取れなくなった。結婚式、一ヶ月前にして、だ」
「うわぁ」
「彼女は必死になって、彼を探した。だけど、彼の語った話はすべてが嘘で、そして……彼女はすべてを失った」
「……え?」
「彼女は彼を信じて、結婚式の式場をぎりぎりまで解約しなかったんだよ。でも、彼は現れず、式は取りやめ。キャンセル料は彼女が払った。それだけではない。彼は結婚したら働かないで家にいて欲しいと言っていたため、仕事も辞めていたんだ」
「…………」
「さらには、結婚したら一緒に暮らそうと言って、借りていた家はすでに解約していた」
最悪じゃない、それ。
「それだけではなく、まだあるんだ」
「え……」
「彼を救ったと思ったあのブレスレット」
「…………」
「ぼろぼろになった彼女の前に現れたのは、あの宝石商。そして彼は開口一番、『偽物を押しつけやがって!』だった」
なにそれ、どういうこと……?
「宝石商曰く、本物だと思ったから一千万円の即金で買い取ったのに、よくよく調べたら、あれは巧妙に作られた偽物だった、だから金を返せ、さらには嘘をついた違反金として、さらに追加の一千万円の賠償金まで請求してきた」
うわぁ、それはひどい。
「彼女はそんなことを言われても訳が分からなくて、これは彼からもらったもので、事情がわからないから、彼に話を聞いて欲しいと言ったのだけど、宝石商は聞く耳も持たず、彼女に返済を迫った」