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恋はいつでも平行線【完結】
第30章 *三十*
 後から叔父さんが補足として教えてくれたのだけど、ギルド制度のおかげで、金細工のアンティークものは比較的容易に鑑定できるらしい。
 というのも、このころ作られたものは、ギルドが認定して、純度や年代が分かるようにと品物に一つずつホールマークというものをつけていたからだという。
 だから本来ならば、あれが呪いの品でなければ、れっきとした金細工のアンティークとして、かなりの値が付いたはずだと言っていた。

 そんな貴重なものを青はあっさり壊してしまったようだ。
 すごくもったいないことをと思ったけれど、仕方がない。

「あのブレスレットは、どこぞやの貴族が、自分の奥さんへの贈り物として作らせて、奥さんも喜んで使っていたのだけど、不幸なことに、その奥さん、病気でなくなった。で、その貴族もそのことにショックを受けて、追うようにして病死。跡取りもいなく、その代でその家はなくなり、ブレスレットは売られたのか、このどさくさでだれかが盗んだのか、行方が分からなくなる」

 そんなエピソードのある品だったとは知らず、なんだか悲しい気持ちになった。

「そして、次にあのブレスレットが姿を現すのは、いきなり時が飛んで、二年ほど前の日本」
「え?」
「柚希は、二年前の婚約者連続殺人事件は覚えているか?」

 かなりインパクトのある事件だったから、それは覚えている。
 それに、ここに来る前に、新幹線の中での文字ニュースでも見かけた。

 犯人は確か女性で、男性とともに無理心中をしたとかで、死体で発見されたということで幕引きしたと聞いた。

「俺はもちろん、その事件を直接知っている訳ではないけれど、水の記憶によれば、犯人の女性が一緒に死んだ男性には、問題があったようだ」
「問題……?」

 なに、それ。

「女性の周りが次々と結婚していき、彼女も焦っていて、結婚相手を求めて参加した婚活パーティで知り合った男性だったようだ。彼はすぐに彼女に結婚の約束をして、あのブレスレットを贈ったという」
「…………」
「そして、結婚式を控えた一ヶ月前になり、彼から困ったことになったと相談を受けた」
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