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恋はいつでも平行線【完結】
第33章 *三十三*
 神田家の当主は、わたしの母であるけれど、実質的には祖母が最高責任者だ。
 母がいいと言っても、祖母が駄目と言えば、駄目になる。
 ここはそういう家なのだ。

 祖母に駄目と言われたけれど、それでもわたしは諦められなかった。
 だけど、状況を考えたら、祖母を説得したり、わたしの根性に根負けして折れるのを待っていられないというのが分かったので、夜になり、みんなが寝静まった頃にわたしは行動を起こすことにした。

 とはいえ、問題は祖母だけではなく、雪さんと青もなのよね。
 さて、どうしたものか。

 雪さんは基本、母に仕えているからどうにかなるんだけど、わたしにべっとりとひっついている青をどうしたものか。
 青は絶対、臣哉のところに行くのに反対すると思うのよね。
 それに青は寝なくても問題ないみたいで、わたしと一緒に布団に入って寝転がってくれるけれど、まったく寝てないようなのだ。
 これは困った。
 とにかく、少しの間でいいからわたしの側から青が離れてくれればいい。
 ……となると、青になにか頼むしかない。

「青」
「……嫌だ」
「え、なにも言ってないけどっ」

 ちょっと待って、もう読まれてるの、わたしの行動っ?

「柚希の側、離れない」
「……いや、その……」
「駄目。臣哉のところには行かせないから」
「……でもっ!」
「柚希が泣いて、後悔しても、ばあさんが仮に行ってもいいって言っても、俺は絶対に、柚希をあいつの側には行かせない」
「なんで」
「だって、柚希が悲しむから」

 そういって、青はわたしの後ろからきつく抱きついてきた。

「それに、臣哉が戻ってきたら、柚希のこと、独占できない」
「……青」
「俺のわがままだって分かってる。でも、駄目」
「青、お願いだから」
「だって、あいつのこと、嫌いなんだろう?」
「……うん。でも、嫌いでも、死んで欲しいとは思わないし、それに……」

 臣哉が見つかったと聞いてから、わたしは本気で臣哉について考えた。

 今までも臣哉のことは考えたけれど、自分の気持ちを直視したくなくて、先延ばしにしていたのだ。
 でも、今ココで、臣哉について真剣に考えて、行動を起こさないと、絶対に後悔すると思ったから、本気で考えた。
 わたしは青の腕の中でくるりと周り、正面を向いた。

「青のこと、好き。大好き。愛してる」
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