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恋はいつでも平行線【完結】
第33章 *三十三*
そう言って、青が持っていたランタンを臣哉の股の間へと向けた。
「え……っ」
最初、それがなにか分からなくて、それをじっと見た。
臣哉の股の間に、黒い影。
それはゆらゆらと揺れていて、なんとなく不気味だ。
わたしはよく確かめようとランタンを低くして──そして、ようやくそれがなにか、分かった。
「ひっ……!」
臣哉の股の間にいた黒い影は、ランタンの明かりを受けて、不気味に揺れた。
影はさらに揺れ、ランタンのせいで大きくふくれあがったように見えた。
「柚希、伏せて!」
青の声とともに、頭を押されて、反射的にかがみ込めば、その影がこちらに飛びかかってきた。
影はわたしの後ろの壁に音を立ててぶち当たったようだ。
青が慌ててわたしの身体を通路にねじ込んだ。
「青!」
「柚希はそこに隠れていて」
「でも!」
わたしは、なんの力もない。
だからこういう場面では足手まといになるというのは分かっていた。
「俺がどうにかする」
青はそう言うと、ランタンを地面に置き、黒い影に向き合った。
黒い影はゆらりと揺れて、ゆっくりと人の形を取った。
それを見て、わたしは息をのんだ。
ランタンの明かりしかないからよく分からないけれど、ばさばさの黒い髪と赤いドレスは、あの夢に出てきた女性だ。
もしかして彼女が……あの話に出てきた、結婚詐欺師に騙された女性なの?
そして彼女は、青ではなく、青の後ろに隠れているわたしに視線を向けた。
驚きに目が見開いたのが見えた。
『おまえは……殺した、はず』
その言葉に、あのとき、わたしの首を絞めたのは、臣哉ではなく、臣哉の身体を乗っ取った彼女だったと悟った。
『一度や二度だけではなく、またおまえ、邪魔をするのか』
女性はそう言うと、狭い洞窟の中に目一杯、ふくれあがった。
「え……っ」
最初、それがなにか分からなくて、それをじっと見た。
臣哉の股の間に、黒い影。
それはゆらゆらと揺れていて、なんとなく不気味だ。
わたしはよく確かめようとランタンを低くして──そして、ようやくそれがなにか、分かった。
「ひっ……!」
臣哉の股の間にいた黒い影は、ランタンの明かりを受けて、不気味に揺れた。
影はさらに揺れ、ランタンのせいで大きくふくれあがったように見えた。
「柚希、伏せて!」
青の声とともに、頭を押されて、反射的にかがみ込めば、その影がこちらに飛びかかってきた。
影はわたしの後ろの壁に音を立ててぶち当たったようだ。
青が慌ててわたしの身体を通路にねじ込んだ。
「青!」
「柚希はそこに隠れていて」
「でも!」
わたしは、なんの力もない。
だからこういう場面では足手まといになるというのは分かっていた。
「俺がどうにかする」
青はそう言うと、ランタンを地面に置き、黒い影に向き合った。
黒い影はゆらりと揺れて、ゆっくりと人の形を取った。
それを見て、わたしは息をのんだ。
ランタンの明かりしかないからよく分からないけれど、ばさばさの黒い髪と赤いドレスは、あの夢に出てきた女性だ。
もしかして彼女が……あの話に出てきた、結婚詐欺師に騙された女性なの?
そして彼女は、青ではなく、青の後ろに隠れているわたしに視線を向けた。
驚きに目が見開いたのが見えた。
『おまえは……殺した、はず』
その言葉に、あのとき、わたしの首を絞めたのは、臣哉ではなく、臣哉の身体を乗っ取った彼女だったと悟った。
『一度や二度だけではなく、またおまえ、邪魔をするのか』
女性はそう言うと、狭い洞窟の中に目一杯、ふくれあがった。