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恋はいつでも平行線【完結】
第34章 *三十四*
     *

 青はたぶん、網の間から抜けることは簡単だったと思うのだけど、律儀にわたしと一緒に捕らわれて、そのまま奥院の庭に連行された。
 縁側には予想どおり、しかめっ面の祖母が座っていた。

「……まったく、おまえは昔から言うことを聞かぬな」

 いや、そんなことないと思うけど。
 基本はきちんと言われたことは守っていますよ?

「青、おまえがついていながら、ゆずを神域にやるとは、どういうことだ」

 まさか青まで怒られるとは思っていなくて、申し訳なくて、網に絡め取られたままで青を見ると、青はわたしをじっと見つめていた。

「あ、青?」
「うん、なに?」
「あの、おばあさまが……」
「俺は柚希の言うことしか聞かない。柚希に頼まれて最初に断ったのは、あいつに会わせたくなかったから。そうでなければ、柚希が行きたいと言えば、俺は実行する」

 ね、と青は甘ったるい表情をわたしに向けてきた。

「暗闇の中で柚希と二人っきりで、俺、すっごい嬉しかった」

 そう言って、青はわたしの頬に触れてきて、さらにはチュッと音を立ててキスをしてきた。
 あの、おばーさまが見ているのですよ!

「……雪」
「あー。残念ながら、私も止められません」
「…………」

 祖母は呆れたように、大きなため息を吐いた。

「あいつがさ、柚希に会いたくてアレを連れて行っちゃったんだから、柚希を怒るのは筋違いだと思うよ」

 それに、と青が続けた。

「あいつが勝手に神域に俺たちを招いた訳だし、それと、結果的にはあそこの水、さらに清められたんだから、結果オーライだと思うぜ」

 そういう問題なのだろうか。

「悔しいけど、柚希が行ったことであいつの機嫌が直ったんだから、いいだろ」

 青の言葉に、祖母はしばらくなにかを悩んでいたようだけど、肩を落とした。

「……ゆず、また秋祭りに来るがいい」
「え……あ、はい。ありがとうございます……?」

 と同時に、網がばさりと取り払われた。
 え、要するに、今回のことは不問にするってこと?

「じゃ、柚希。帰ろうか」
「え、うん。それでは、お世話になりました」

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