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恋はいつでも平行線【完結】
第34章 *三十四*
 そしてわたしは青とともに、奥院へと帰っているところだ。

「さっきの人」
「人じゃないけど」
「あ……うん、分かってるけど、なんと言えばいいのか分からないから、人で」

 名前があるのかもだけど、青に聞いても教えてくれそうになかったから、あえて聞かなかった。

「水を守ってるって言ったけど」
「うん、そう。あんなにはっきりした実体は持ってなかったんだけど、柚希の蜜で力を付けちゃって……」
「…………」
「ほんと、迂闊だった」

 それで祭りまでの間、途中から青はわたしをずっと眠らせていたのか。
 変な顔していたのは、あの人が横取りしていたからだったとは。

「……なんかその、不思議だね」
「俺たち水は、繋がってるからね」

 でも、と青は続けた。

「柚希ももっと抵抗しなよ!」
「う、うん……」

 青に言われなくても、そこは分かっている。
 でも、どうしてだろう、水たちに求められたら、あらがえないのだ。

「……神田の巫女に言っても仕方ないんだろうけど。これでも俺、すっごい嫉妬してるんだからな!」

 思わず青の顔を見ると、真っ赤になっていた。
 青を見て、わたしまで伝染して、頬が熱くなってきたのが分かった。

「……うん、努力は……する」

 そう返事をしたら、青が唸り声を上げた。
 あれ、この返事だと駄目だった?

「あー、もうっ! して欲しいけどっ! でも! そうしたら柚希、あの臣哉だけにしちゃうんだろう?」
「え……」

 すっかり臣哉のことを忘れていたけれど、そういえばそうだった。
 わたしは臣哉を助けに祖母の言いつけを破って……。

「って」

 奥院の近くまで来てから気がついた。
 これ、このまま戻ったら、色々とマズくない?

「あの……青」
「……もう遅いと思うぞ」

 皆まで言わなくても、青はわたしがなにを言おうか分かったようだ。
 青の言葉とともに、上からばさりと音がして……。

「うわっ!」
「このまま逃げられると思っていましたか?」

 またもや雪さんの捕獲網に捕らわれてしまったのです……。
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