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恋はいつでも平行線【完結】
第9章 *九*
とっさに判断できなくて、しゃがみこんだまま悩んでいると、どうやら臣哉が店内に入ってきたようだ。
新開さんが必死になって止めている声が聞こえてきた。
「ちょっと、臣哉さん! 入ってこないでください」
「柚希、いるんだろ?」
「臣哉さんっ!」
いるけど、いません!
このまま帰ってよ!
普通、入るなと言われたら、入ってこないと思うのよね。
ほんっと、こいつって、どうしてこんなにも空気を読めないんだろう。
臣哉は新開さんの制止を振り切ってカウンターまで来ると、覗き込んできた。
しかも。
「お、なんだ? そんなとこにしゃがみこんで。オレの顔見て、今朝のこと思い出して腰が砕けた?」
なんて言ってくる始末。
そろそろこいつにデリカシーとはなにか、教えないといけないときですか?
それよりも、殴っていい?
ぐーで思いっきり、殴ってもいいですか?
「あのねっ!」
「飯より先に、セ……」
とんでもない言葉が出てくるのが分かったので、わたしは慌てて立ち上がると、臣哉の口を手で覆った。
今まではスルーしていたけれど、閉店後でいくら店内にお客さんがいないとはいえ、スタッフがいるところで業務中に不似合いな言葉を口にしようとするなんて、社会人として失格だと思う。
さすがに説教コースだ。
「臣哉! 前から言おうと思ってたんだけどっ!」
言葉を続けようとしたら、カウンター内の、バックヤードに続く扉がぎぃっと音を立てて開いた。
裏にいたもう一人のスタッフが来たのかと思って視線だけ向けると、そこには。
「伯父さんとお兄ちゃん」
良いタイミングなんだか、悪いタイミングなんだか知らないけれど、そこには、敬人伯父さんと兄の穂貴(ほたか)が立っていた。
新開さんが必死になって止めている声が聞こえてきた。
「ちょっと、臣哉さん! 入ってこないでください」
「柚希、いるんだろ?」
「臣哉さんっ!」
いるけど、いません!
このまま帰ってよ!
普通、入るなと言われたら、入ってこないと思うのよね。
ほんっと、こいつって、どうしてこんなにも空気を読めないんだろう。
臣哉は新開さんの制止を振り切ってカウンターまで来ると、覗き込んできた。
しかも。
「お、なんだ? そんなとこにしゃがみこんで。オレの顔見て、今朝のこと思い出して腰が砕けた?」
なんて言ってくる始末。
そろそろこいつにデリカシーとはなにか、教えないといけないときですか?
それよりも、殴っていい?
ぐーで思いっきり、殴ってもいいですか?
「あのねっ!」
「飯より先に、セ……」
とんでもない言葉が出てくるのが分かったので、わたしは慌てて立ち上がると、臣哉の口を手で覆った。
今まではスルーしていたけれど、閉店後でいくら店内にお客さんがいないとはいえ、スタッフがいるところで業務中に不似合いな言葉を口にしようとするなんて、社会人として失格だと思う。
さすがに説教コースだ。
「臣哉! 前から言おうと思ってたんだけどっ!」
言葉を続けようとしたら、カウンター内の、バックヤードに続く扉がぎぃっと音を立てて開いた。
裏にいたもう一人のスタッフが来たのかと思って視線だけ向けると、そこには。
「伯父さんとお兄ちゃん」
良いタイミングなんだか、悪いタイミングなんだか知らないけれど、そこには、敬人伯父さんと兄の穂貴(ほたか)が立っていた。