この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋はいつでも平行線【完結】
第11章 *十一*
 臣哉の実家は、かなり昔から、『ジュエリー・オーク』を営んでいる。
 安価なアクセサリから、超本格的なジュエリーまでそろえているお店だ。
 その店舗はリンティからとても近く、歩いて五分もかからないくらいだ。

 一階が店舗で、二階と三階が住居になっていると、以前、臣哉から聞いたことがあった。
 そして臣哉は、産まれてから今までずっと、ここに住んでいるという。

 わたしたちはぞろぞろとジュエリー・オークの裏に回り、二階の住居部分へ。
 お店には何度か行ったことがあるけれど、こちら側は初めて来る。
 二階へと続く階段を上がっていると、玄関から臣哉のお父さん──柏さん──が出てきた。
 先頭を歩いている伯父さんはすぐに気がつき、頭を下げながら階段を上った。

「夜分遅くにいきなりすみません」
「いえ、こちらこそ臣哉が迷惑をかけたみたいで……」

 何度か話したことがあるけれど、臣哉のお父さんとは思えないくらい腰の低い人で、戸惑ってしまう。
 やはり今日も、とても申し訳なさそうに頭を下げてきた。
 ちなみに、臣哉のお母さんもとても優しくて気の利く人だ。
 それなのに、なにがどうなったら、こんなにもデリカシーの欠片のない男が出来上がるのだろうか。

「なにもございませんが、どうぞおはいりください」

 そう言って、わたしたちは家の中へ招かれた。

 玄関で靴を脱ぎ、廊下を歩いていると、何度か会ったことのある、臣哉のお母さんがコーヒーが入っていると思われるカップが乗ったトレイを持って待っていた。
 それを見て、伯父さんが申し訳なさそうに頭を下げた。

「夜分にいきなり訪問した上にご用意いただいて申し訳ないのですが、割れ物を出すのは今は控えておいたほうがよいかと思います」
「え……えぇ……?」

 さっき、伯父さんは臣哉を殴ったから怒りが収まったのか、それとも大人だから怒りを抑えているのかわからないけれど、最後尾にいる兄は明らかに怒っている。
 どう見たって修羅場にしかならない。

 臣哉のお母さんは、その場の微妙な空気を感じたのか、伯父さんの言葉を素直に受け取り、トレイを持って、そのまま退場した。

 そして、わたしたちが通されたのは、応接室。
 住居部分にも応接室がある家ってなかなかないと思うのよね。
/187ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ