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恋はいつでも平行線【完結】
第11章 *十一*
柏さんに案内されるまま、伯父さんと兄に挟まれるような形でソファに腰かけた。
部屋のドアが閉められて、ふと臣哉がいないことに気がついた。
あいつ、自分がかなり不利だと知って、逃げたな。
伯父さんもそこに気がついていたようだけど、特に触れなかった。
「昨夜、臣哉くんから呪いの品が持ち込まれたと呼び出されました」
どこから話を始めるのかと思っていたら、そちらから攻めるようだ。
伯父さんの言葉に、柏さんは頬をひきつらせた。
伯父さんは柏さんの反応を見て、状況を把握したようだ。
大きくため息をついたけれど、続けた。
「かなり危険なものだから、すぐに渡したいと電話で言われたので、臣哉くんに指定されたところに慌てて向かいました。言われた場所に行くと、すでに臣哉くんは待っていて、受け取ったらすぐに帰ろうと思っていたのですが、渡すのはいいけれど、これをどうするのか、せっかくきれいなのになどと言って、なかなか渡してくれなかったので、私は受け取るのを諦めて、帰りました」
渡したいと言って呼び出したのに渡さないとは、それってどうなのよ。
……と思ったのはわたしだけではなかったらしい。
黙って聞いていた柏さんの表情が、ひきつり始めた。
「それから家に帰り、その日は普通に寝ました。起きて仕事に出ようとしたところで、おかしなことに気がついたのです」
伯父さんはそこで言葉を切り、そしてわたしに視線を向けた。
「柚希が管理している建物の鍵だけ、なぜかなくなっていたのです」
呪いの品と鍵との関連性を見いだせなかった柏さんは、眉間にしわを寄せ、伯父さんを見た。
「鍵は複数ありますので、こうやってキーケースに入れて持ち歩いているのです。昨夜、臣哉くんと会った時、呪いの品の話をする前に、なぜかこのキーケースの話になったのです」
呪いの品の話からどうしてキーケースの話になったのかさっぱりわからないけれど、だけど臣哉のことを少しでも知っている人は、そういうわけが分からない男であると知っているから、ああまたかという感じだった。
でも、自分から呼び出しておいて、用件を済ませないで違うことを聞いてくるのってやっぱりおかしい。
部屋のドアが閉められて、ふと臣哉がいないことに気がついた。
あいつ、自分がかなり不利だと知って、逃げたな。
伯父さんもそこに気がついていたようだけど、特に触れなかった。
「昨夜、臣哉くんから呪いの品が持ち込まれたと呼び出されました」
どこから話を始めるのかと思っていたら、そちらから攻めるようだ。
伯父さんの言葉に、柏さんは頬をひきつらせた。
伯父さんは柏さんの反応を見て、状況を把握したようだ。
大きくため息をついたけれど、続けた。
「かなり危険なものだから、すぐに渡したいと電話で言われたので、臣哉くんに指定されたところに慌てて向かいました。言われた場所に行くと、すでに臣哉くんは待っていて、受け取ったらすぐに帰ろうと思っていたのですが、渡すのはいいけれど、これをどうするのか、せっかくきれいなのになどと言って、なかなか渡してくれなかったので、私は受け取るのを諦めて、帰りました」
渡したいと言って呼び出したのに渡さないとは、それってどうなのよ。
……と思ったのはわたしだけではなかったらしい。
黙って聞いていた柏さんの表情が、ひきつり始めた。
「それから家に帰り、その日は普通に寝ました。起きて仕事に出ようとしたところで、おかしなことに気がついたのです」
伯父さんはそこで言葉を切り、そしてわたしに視線を向けた。
「柚希が管理している建物の鍵だけ、なぜかなくなっていたのです」
呪いの品と鍵との関連性を見いだせなかった柏さんは、眉間にしわを寄せ、伯父さんを見た。
「鍵は複数ありますので、こうやってキーケースに入れて持ち歩いているのです。昨夜、臣哉くんと会った時、呪いの品の話をする前に、なぜかこのキーケースの話になったのです」
呪いの品の話からどうしてキーケースの話になったのかさっぱりわからないけれど、だけど臣哉のことを少しでも知っている人は、そういうわけが分からない男であると知っているから、ああまたかという感じだった。
でも、自分から呼び出しておいて、用件を済ませないで違うことを聞いてくるのってやっぱりおかしい。