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恋はいつでも平行線【完結】
第11章 *十一*
 そう言って、伯父さんは柏さんに腕輪が見えるように腕を上げろと視線で促してきたので、左手を持ち上げた。
 きれいに磨かれた金色の腕輪は、室内灯を受けて、きらりと光った。
 その光を受けて、柏さんは遠慮がちに頭を上げて、それから息をのんだ。

「そ……それは……!」
「間違いないのですね」
「ああああ! 臣哉はなんということを! 本当に申し訳ございません!」
「柏さん、頭を下げても問題は解決しませんよ」
「あ、いや、そうですね。そうですが、どうすれば!」

 柏さんは下げた頭を抱え、唸り声を上げ始めた。

「柏家の待望の男子だったばかりに、甘やかしすぎたのかもしれません。どうやってお詫びをすればいいのやら……」

 この腕輪だけど、留め具はなくて、手をくぐらせてつけるタイプだ。ゆるゆるで、なにかの拍子にすぽっと抜けそうなんだけど、なにがどうなっているのか、まったく外れない。
 呪われた品でなければ、デザインは気に入っているのでしているのは問題ないのだけど、いわくつきの品なのだ。できたら外したい。

「お詫びなら、簡単ですよ」

 伯父さんはそう言って、ソファから立ち上がって柏さんの横にひざまずいた。
 ひどく冷たい笑みを浮かべた伯父さんに、背筋がぞっとした。

「柚希を穢したうえ、呪いまでかけてしまった。生涯をかけて、臣哉くんには罪を償ってもらいましょう」
「……え」

 伯父さんは口角を上げると、楽しそうに口を開いた。

「臣哉くんは、神田家に嫁いでもらいましょう」
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