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恋はいつでも平行線【完結】
第12章 *十二*
 伯父さん、言っている意味がよくわからないのですが!
 臣哉は男だよ? 嫁ぐってどういうことですか。

「臣哉くんは、ジュエリー・オークを継ぐ予定なのですよね?」

 伯父さんの問いに、柏さんは小さくうなずいた。

「でも、あなたはとても不安に思っている」
「……はい」
「それならば、代わりに私が経営しましょう」
「……えっ」

 ちょ、ちょっと待って、伯父さん!
 それ、世の中では乗っ取りという行為ではありませんか?
 ねえ、もしかしなくても、この一連の出来事、すべて伯父さんが仕組んだものなのっ?

「もしもこの申し出を拒否すれば、私は被害届を警察に提出します」
「…………」

 しかもこれ、脅しじゃないっ?

「申し入れを受け入れていただければ、臣哉くんの面倒も、最近、経営が芳しくないジュエリー・オークの経営も、すべて私が引き受けますよ」

 伯父さんはさらに笑みを深めて、告げた。

「あなたが拒否したら、私のかわいい姪の柚希も死ぬし、臣哉くんは犯罪者になるし、そうなるとあなたの代でお店は終わりですね。終わりだけならともかく、借金まみれでみじめな生活が待っていますね」

 伯父さんがかなり黒い人だって知ってたけど、ここまで黒くて、身内まで利用するなんて思わなかった。
 今朝の臣哉の仕打ちよりも、伯父さんの言葉のほうがショックだった。
 ずっと黙っている兄をちらりと見ると、無表情だった。

「どちらを選ぶのが正解か、あなたならすぐにわかりますよね?」
「臣哉を、婿養子に出せ、と」
「いいえ。婿養子なんて、必要ないですよ。だって神田家は私の妹が当主ですし、次は柚希の姉が継ぐことになっていますから」
「それでは、どういう意味ですか?」
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