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恋はいつでも平行線【完結】
第12章 *十二*
困惑した柏さんの声に、伯父さんは目を細めた。
あー、これ、相当怒っているときの顔だわ。
「神田家は、ちょっと特殊な事情があって、女性上位の家なんです。家を継ぐのは女性で、神田家の男は、よその家に嫁ぐのですよ」
「え……。嫁ぐというのは、女性が相手の家に嫁として入ることをいいますよね……?」
「嫁ぐという言い方自体が、時代にそぐわないというのもありますが、本来の言葉の意味は、柏さんがおっしゃったとおりです」
嫁ぐ……? と柏さんは小さく呟いて、床に正座したまま伯父さんを見上げた。
「婿養子というのは、家長になってもらうことを暗に指します。でも、神田家の家長は、神田家の血を引く女性しかなれない。だから、嫁いでもらうのですよ」
それもそれでどうなんだと思うけれど、残念ながら神田家は代々そうやって来た。
──男性が嫁ぐ、なんて言い方はしないけど。
わたしはそれを含めて嫌で、普通に結婚をするつもりでいたのだけど、伯父さんは神田家を嫌がっていながら、わたしに強要するつもりのようだ。
「それに、臣哉くんは、正しい手順を踏まないで、神田家の巫女である柚希の初めてを奪った。神様から奪い取ったような状況ですから、祟られますね、確実に」
どこからほんとで、どこから嘘か分からないけれど、一気に世間の常識から外れたことを怒濤のように言われた柏さんは、混乱しているようだった。
「一晩、考えてください。また明日、ご連絡いたします」
伯父さんは、柏さんに最後通牒(さいごつうちょう)を叩きつけた。
うわぁ、わたし、どっちに転んでも嫌なんですけど!
文句を言おうとしたけれど、いつもの優しい表情とは無縁の険しい顔をした伯父さんを見たら、なにもいえなかった。
あー、これ、相当怒っているときの顔だわ。
「神田家は、ちょっと特殊な事情があって、女性上位の家なんです。家を継ぐのは女性で、神田家の男は、よその家に嫁ぐのですよ」
「え……。嫁ぐというのは、女性が相手の家に嫁として入ることをいいますよね……?」
「嫁ぐという言い方自体が、時代にそぐわないというのもありますが、本来の言葉の意味は、柏さんがおっしゃったとおりです」
嫁ぐ……? と柏さんは小さく呟いて、床に正座したまま伯父さんを見上げた。
「婿養子というのは、家長になってもらうことを暗に指します。でも、神田家の家長は、神田家の血を引く女性しかなれない。だから、嫁いでもらうのですよ」
それもそれでどうなんだと思うけれど、残念ながら神田家は代々そうやって来た。
──男性が嫁ぐ、なんて言い方はしないけど。
わたしはそれを含めて嫌で、普通に結婚をするつもりでいたのだけど、伯父さんは神田家を嫌がっていながら、わたしに強要するつもりのようだ。
「それに、臣哉くんは、正しい手順を踏まないで、神田家の巫女である柚希の初めてを奪った。神様から奪い取ったような状況ですから、祟られますね、確実に」
どこからほんとで、どこから嘘か分からないけれど、一気に世間の常識から外れたことを怒濤のように言われた柏さんは、混乱しているようだった。
「一晩、考えてください。また明日、ご連絡いたします」
伯父さんは、柏さんに最後通牒(さいごつうちょう)を叩きつけた。
うわぁ、わたし、どっちに転んでも嫌なんですけど!
文句を言おうとしたけれど、いつもの優しい表情とは無縁の険しい顔をした伯父さんを見たら、なにもいえなかった。