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恋はいつでも平行線【完結】
第13章 *十三*
 伯父さんには謝罪してと言ったけれど、それをしたからといって、時間は巻き戻らない。処女であることに特別なこだわりはないからもういいやとは思っているけれど、それでも、ショックだった。

 わたしだって、好きで死にたいなんて言ってるわけではない。
 死にたくないけれど、そのためには臣哉と結婚しかないってのは冗談じゃない。
 他に方法があるのなら、それがどれだけ困難でも、そっちを選択したいくらい嫌だ。

「わたしのこと、守ってくれないのなら、もうここには来ないで! 出て行ってよ!」

 ここが伯父さんの持ち物であるってことは分かっていたけれど、それでも今のわたしはそう叫ぶのが精一杯だった。
 本当は、もっと早くにこうやって泣き喚きたかった。
 だけど、仕事があったし、悩んだって仕方がないことだし、過ぎたことに対してくよくよしたって仕方がないって思ったから、考えないように、気にしないようにしていた。
 それなのに伯父さんは、わたしに思い出させたばかりか、さらにひどいことを口にした。

「とにかく! わたしは臣哉と結婚なんて、嫌! 帰ってよ!」

 伯父さんと兄はわたしの言葉になにも返さず、動かず、ただそこでじっとしていた。
 そちらが動かないというのなら、わたしが部屋に戻るまで。

「臣哉との結婚を強要するのなら、わたしは実家に帰るから!」

 あそこに戻っても居心地が悪いのは分かっていたけれど、それでも、臣哉とは嫌だったのだ。

 まだ出逢っていないだれかと恋に落ち、その人と結婚する──。
 そのだれかはだれかであって、臣哉ではない。
 わたしにはそんな人が絶対にいる。諦められない。
 それが甘いことだって分かっていたけれど、そう思わずにはいられなかった。
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