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恋はいつでも平行線【完結】
第14章 *十四*
 しかも、しかも!
 甘い声で好きだと囁きながら、キスの雨を降らされてしまえば、相手が臣哉だったとしても、胸がざわめき、高鳴ってしまう。

 これは、卑怯だ。
 でも臣哉、わたしのこと、嫌ってたよね?
 それなのにどうして?
 臣哉がなにをもって、心にない言葉を口にしてくるのか。

 首をひねって、臣哉の横顔を見る。
 うっすらと笑みをたたえた顔を見て、どうしてそんな言葉を口にしたのか分かった。

 臣哉は昨日まで、童貞だった。
 臣哉がひたすらにナンパを続けていたのは、一刻も早く、童貞から抜け出たかったからだ。
 わたしは不本意だけど、臣哉はわたしを使って念願の脱・童貞できた。
 わたしは臣哉相手で嫌だったけれど、それでも、気持ちがよかった。
 臣哉ではなく、今はまだわたしの前に現れていない好きな人がいれば、また、あの気持ち良さを体感したいと思うくらいには思えた。

 だけど臣哉は、違う。
 臣哉は基本、我慢できないヤツだ。
 こちらも不本意であるけれど、臣哉はわたしとして、気持ちが良かったのだ。
 肉欲に捕らわれた臣哉は、昨日の気持ち良さを──ううん、昨日よりもっと気持ち良くなろうとして、わたしのところへとやってきた。

 ……肉欲に、捕らわれ……た?

「え……」

 自分でそう考えたけれど、ちょっと待って!

 これって、これって、もしかしなくても。

「取り、憑かれて……る?」
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