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恋はいつでも平行線【完結】
第14章 *十四*
 なにを言っても斜めに受け止める臣哉。
 どうすればわたしの思いをわかってもらえるの?

「昨日の話は、伯父さんが勝手に決めたことだから!」
「たとえそうだったとしても、親父が拒否する方向で調整をし始めていても、オレは敬人さんの案に乗るからな」

 え、本気で?
 ちょっと、やめてほしいんだけど。

 言葉で言ってもわかってもらえないのなら、行動で示すしかないようだ。
 だからわたしは本気で臣哉の腕の中から抜けようと力いっぱいもがいたら、臣哉は耳元で笑った。

「あぁ、わかった」

 絶対にこいつ、わかってない。
 全力で抵抗しないと、また昨日と同じことになる。
 だから身体が痛いのを我慢して、必死に抗ったのだけど……。
 臣哉はわたしの耳を甘噛みしながら、今まで聞いたことがないくらい、甘ったるい声でとんでもないことを口にした。

「柚希、好きだよ。愛してる」

 耳に直接流し込むようなその声に、身体がぞくりと震えて、力が抜けた。
 え、ここでいきなりそういうことを言ってくるのっ?
 すごく信じられないんだけど!

 もちろん、わたしだって年頃の女子だから、『好き』『愛してる』という言葉はほしい。
 ほしいけれど、前提条件として、『好きな人から』であるというのは言うまでもない。
 嫌いという感情に傾いた相手から、愛を囁かれたからって……──っ!

「柚希、好きだよ」

 だめ押しとばかりに、臣哉はわたしの脳に直接吹き込むように、耳元で囁いた。

 厭だし、嫌いなのに、わたしの身体は、自分の思っている真反対の反応を示した。
 必死にあらがっていたのに、身体から力が抜け、ぞくりと震えた。

 そもそも、こんなに臣哉の体温を感じていれば、嫌でも昨日の出来事を思い出すし、さらには、臣哉の本心かはいざ知らず、愛の言葉を囁かれたら、思わずぐらりと心が揺れても仕方がないと思う。
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