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恋はいつでも平行線【完結】
第16章 *十六*
 ふ……と意識が浮上してきた。
 最初に感じたのは、激しい頭痛だった。
 続いて、全身に感じる、とてつもない痛み。
 あまりのひどさに、勝手に呻き声が上がった。
 呻きながら、どうしてこんなことになっているのか、思い出した。

 昨日、寝起きに臣哉に襲われて、三回くらいまで数えたところでむなしくなったから数えるのをやめたから分からないけれど、臣哉が飽きるまで抱かれ続けた。
 朦朧としていたし、あまりのことに気絶してしまったような気がする。

 それにしても、あの無限のスタミナはどこから来ているのだろうか。
 最後の方は、気持ちがいいというよりは、痛くて苦痛でしかなかった。

 臣哉の抱き方は、わたしのことが好きで、愛しているからこその愛情表現ではなく、自分がただ気持ち良くなりたいだけの、一方的なものだ。
 わたしも気持ち良くさせれば、さらに自分もよくなるから、という自分本位な気持ちでしかない。

 このままここにいたら、わたしは臣哉に壊されてしまう。

 その恐怖は昨日、抱かれている間、ずっと感じていた。
 最後の方は、このまま抱き殺されてしまうのではないかという恐れが襲ってきたことを思い出し、一刻も早く、ここから逃げなければならないという結論に達した。

 だから、痛む身体でも無理をして、一刻も早く……って。

「────っ!」

 のろのろと身体を起こして、部屋の中を見て、言葉を失った。

 だって、だってよ?
 わたしの部屋の中には、所狭しと呪いの骨董たちが──置かれていたのだ。

 パソコンを置いている机の上には、花柄の花瓶と、それに寄りかかるように、不格好に補修された血まみれのうさぎのぬいぐるみ。
 椅子の背には、ダイエットのし過ぎで死んだ女性が最期に身につけていたというシルクのネグリジェ。
 これらは、骨董というよりはリサイクル品。
 骨董はというと、江戸時代辺りに作られたと思われる能面。
 これはベッドの足下の壁に掛けられていた。
 あとは、戦国時代に人の血を吸いすぎて妖刀と化した短刀に、幽霊の描かれた掛け軸、お茶ではなく、血を立てたせいで呪力を得てしまったと言われる茶器。

 これらはあの部屋の中の一部だけど、それでもどうしてわたしの部屋に置かれているのよ!
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