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恋はいつでも平行線【完結】
第17章 *十七*
「さて」
間接照明の灯る部屋の中で、祖母はけだるそうに脇息に身体を預け、目を細めてわたしを見た。
「敬人から聞いているけれど」
祖母はそう前置きをして、それからわたしの手首にはまっている金色のブレスレットを指さした。
「まずはそれ。厄介な物に好かれたわね」
「…………」
「油断したら、ゆず、あなた、腕ごと盗られるわよ」
おばーさま、そういう恐ろしいこと、言わないでくださいって!
「手首、痛いでしょう」
「……はい」
そうなのだ、実はずっと我慢しているのだけど、ブレスレットがはまっている左手首がぎりぎりと締め付けられているかのように痛い。
でもまだ、意識しなければ大丈夫というレベルなので、無視していた。
「髪の長い……赤いドレスを着た」
「……赤い、ドレスっ?」
え、それってもしかしなくても……。
「なに、ゆず。心当たりでもあるの?」
「え、あるというか……夢にそんな人が出てきて……」
「……そう」
祖母はそれだけ言うと、ため息を吐き、目を閉じた。
わたしと祖母の間に、妙な沈黙が落ちる。
少ししてから、祖母がようやく口を開いた。
「これはちょっと、急がないとマズいことになりそうね」
えええ、おばーさま、そういう脅すようなこと、言わないでください!
間接照明の灯る部屋の中で、祖母はけだるそうに脇息に身体を預け、目を細めてわたしを見た。
「敬人から聞いているけれど」
祖母はそう前置きをして、それからわたしの手首にはまっている金色のブレスレットを指さした。
「まずはそれ。厄介な物に好かれたわね」
「…………」
「油断したら、ゆず、あなた、腕ごと盗られるわよ」
おばーさま、そういう恐ろしいこと、言わないでくださいって!
「手首、痛いでしょう」
「……はい」
そうなのだ、実はずっと我慢しているのだけど、ブレスレットがはまっている左手首がぎりぎりと締め付けられているかのように痛い。
でもまだ、意識しなければ大丈夫というレベルなので、無視していた。
「髪の長い……赤いドレスを着た」
「……赤い、ドレスっ?」
え、それってもしかしなくても……。
「なに、ゆず。心当たりでもあるの?」
「え、あるというか……夢にそんな人が出てきて……」
「……そう」
祖母はそれだけ言うと、ため息を吐き、目を閉じた。
わたしと祖母の間に、妙な沈黙が落ちる。
少ししてから、祖母がようやく口を開いた。
「これはちょっと、急がないとマズいことになりそうね」
えええ、おばーさま、そういう脅すようなこと、言わないでください!