この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋はいつでも平行線【完結】
第17章 *十七*
そんなこんなで、奥院に連れて来られ、ようやく雪さんは網を外してくれた。
ちなみに、母と姉は来ていない。
「まあ、ゆず、怒りはしないから、そんなに不安そうな顔をするな」
とは祖母。
雪さんは祖母を支えながら中に入り、わたしも中に入るように促してきた。
ちなみに、奥院と言っているここは、母屋の離れだ。
離れの裏には、神田家の命である、酒造りに必要不可欠な水がわき出る井戸がある。
神田家の主神は、人間の命の源である水。
水龍でもなく、水の神様でもなく、水を祀っているという。
わたしの先祖は、一滴の水のおかげで命を救われたらしく、それ以来、水を崇めるようになったという。
水を崇めるってのも不思議だけど、どうしてそれにお酒が必要だったのか、よく分からない。
推測だけど、水がなければ主食のお米を育てられず、お米ができたらそれを元にお酒を造り、水に感謝していた……のではないだろうか。
あるいは、わたしの先祖が単に酒好きだっただけ……というのもあり得る。
そっちの線の方が有力だと思うけれど、それでも、今までずっとこうして連綿と続いている。
雪さんは祖母を定位置に座らせると、夕飯の支度をしてくると告げて、奥院から出て行った。
取り残されたわたしは、祖母の前に力なく座り込んでじっと待つことしかできなかった。
逃亡したかったけど、雪さんには勝てない。
ちなみに、母と姉は来ていない。
「まあ、ゆず、怒りはしないから、そんなに不安そうな顔をするな」
とは祖母。
雪さんは祖母を支えながら中に入り、わたしも中に入るように促してきた。
ちなみに、奥院と言っているここは、母屋の離れだ。
離れの裏には、神田家の命である、酒造りに必要不可欠な水がわき出る井戸がある。
神田家の主神は、人間の命の源である水。
水龍でもなく、水の神様でもなく、水を祀っているという。
わたしの先祖は、一滴の水のおかげで命を救われたらしく、それ以来、水を崇めるようになったという。
水を崇めるってのも不思議だけど、どうしてそれにお酒が必要だったのか、よく分からない。
推測だけど、水がなければ主食のお米を育てられず、お米ができたらそれを元にお酒を造り、水に感謝していた……のではないだろうか。
あるいは、わたしの先祖が単に酒好きだっただけ……というのもあり得る。
そっちの線の方が有力だと思うけれど、それでも、今までずっとこうして連綿と続いている。
雪さんは祖母を定位置に座らせると、夕飯の支度をしてくると告げて、奥院から出て行った。
取り残されたわたしは、祖母の前に力なく座り込んでじっと待つことしかできなかった。
逃亡したかったけど、雪さんには勝てない。