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恋はいつでも平行線【完結】
第18章 *十八*
 祖母の脅しに震えていると、雪さんが母屋から祖母とわたしの夕飯を持ってきてくれた。

「その様子だと、ここのところ、まともにご飯を食べていないのでしょう? ゆっくり食べて、しっかり寝て、それから考えましょう」

 雪さんはそういってにっこり笑みを浮かべ、部屋から出て行った。
 言われてみれば、そうかもしれない。

 祖母と向かい合って、だけど無言でご飯を食べて、温かいお茶を飲んだところで、急激に眠気が襲ってきた。
 疲れていたし、お腹がいっぱいになって眠くなってきたなーとは思っていたけれど、これはさすがにおかしい。
 ……と思ったところで、意識を保っていられなくて、そのままずるりと眠りに落ちてしまった。

     *

 激しい頭痛のせいで目が覚めた。
 えーっと、わたし……?

 痛む頭を押さえつつ、しばらく考えて、思い出した。
 そうだった、臣哉が怖くなって、実家に逃げ帰ってきたんだった。
 祖母と一緒にご飯を食べた……ところまでは思い出せたのだけど、そこから先はまったく記憶にない。
 どうしてこんなに頭が痛いのだろう。

 しばらく悩んでいると、ふすまの向こうに人の気配。
 痛む頭を押さえながら目を開けると、障子越しのまぶしい光が視線を焼き、慌てて目を閉じた。

「柚希さま、失礼いたします」

 声で雪さんだと分かったけれど、ここってどこ?
 戸惑って返事をする前にふすまが開いて、雪さんが入って来たのが分かった。

「柚希さま、お加減はいかがですか」
「……あー、うん、頭痛がひどい」
「やはりそうですよね。申し訳ございません」

 そういって、雪さんは枕元に座り、 身体を労りながら、起こしてくれた。

「柚希さまは昔から苦手でしたよね」
「……分かってるのなら、油断してるところに混ぜ込まないでよ」

 ほんともう、いくらわたしが寝てないからって、こっそり睡眠薬を仕込むのは止めて欲しい。
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