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難問 -兄妹の領域境界-
第14章 旅人算の答え合わせ
部屋の前で両親におやすみなさいと伝えた後、あえて自分で部屋の鍵を出さない。
そんな私の様子を察して、兄がカギを解除し扉を開ける。
(お見通しよ・・・)
おそらく、兄は私を部屋に入れたあと自分はどこかへ行こうとしている。
今日一日の行動を見ればわかる。
ドアの取っ手を奪い、兄の背中を押し無理やり部屋の中に押し込む。
突然の私の行動に兄は抵抗する間もなく部屋へ数歩入る。
カチャリ
私は鍵をかける。
そんな私を驚いたような表情を浮かべる兄。
「お茶が飲みたい、お兄ちゃんいれて」
「あ、あぁ」
驚いている最中に畳みかけたからか、普段そんなことを言おうものなら「自分でやれ」と言われるが、今日は、いわれるがままお茶を用意し始めた。
私も履物を脱ぎ、部屋へを入りふすまを閉める。
手荷物をさっとしまいつつ兄の様子をうかがう。
お茶を入れ終わったことを確認し、声をかける。
「お兄ちゃん、そこのソファーに座って」
昨日夜空を眺めたソファーだ。
「あぁ」
入れたお茶をもって、ソファーに座る兄を眺めながら、私も向かう。
それにしても何だろう、この違和感。
あんなにあからさまに私を避けていた割に行動は従順だ。
文句の一つもない。
まぁ、そんなことはどうでもいい。私はこの一言を言うために兄を足止めした。
兄の隣に座り、入れてもらったお茶を一口飲む。
(よし)
兄を見つめる。
はじめは私を見ないようにしていたのか別の方向を向いていたが、そのまま何も言葉を発さず兄を見続けた。
しばらくして、さすがに私の様子が気になったのかちらりと移した兄の視線は兄を見続けている私の視線と絡み目が合う。
動揺からか、兄の瞳が揺れる。
「お兄ちゃん」
瞳をそらすことは許さない。
そして私は告げる。