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難問 -兄妹の領域境界-
第14章 旅人算の答え合わせ
「俺の覚悟はできてる」

その言葉にドキンそ胸が鳴る。

「未由も同じだと思ってる」

「え、じゃぁなんで・・・」

「でも、もしかしたら俺に気を使ったのかもと・・・」

「え!?」

(なにそれ、昨晩はどう考えても私がねだった流れでしょ・・・)
まさかの内容に、二の句が継げない。

「そのまま行って、未由がいなくなったら生きていけないから」

「へ?」

(ちょっと待って、話が飛びすぎてついていけない・・・)

えっと、私が気を使ってあの状況になって、それだとダメになるかもしれなくてそうすると生きていけない・・・ってこと?

(つまり私のことが死ぬほど・・・)

理由が分かったとたん、あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になる。

「ちょ・・・、え、え」

そうか、そういうことね。
兄のことをわかっているようでわかっていなかった。
そして、考えることが一緒。さすが兄妹だね。
まさかそこまで私のことを想ってくれているとは思わなかったよ。
私のほうが圧倒的に想いが強いと思ってた。

「クソッ、俺何言ってんだ」

自分で言ってて照れている。

「お兄ちゃん、私がお兄ちゃんのそばを離れたら私のこと殺していいよ」

(そして自らの命を絶って)

「なっ・・・」

もちろん兄が私に手をかけられないことはわかってる。
でも、この言葉じゃないとたぶん私の気持ちは伝わらない。
心でつづけた言葉は決して口にはしないけど。

「未由・・・」

少し顔をしかめた後、私の名を呼び唇が重ねる。

私の想いは兄に伝わった、そう確信する。

今まで私はどうしてこんなに強い想いから目をそらすことができたんだろう。

兄の腕の中にいる自分を、触れ合っている唇をもっと実感したくて何度も何度も唇を重ね体を兄の胸に委ねた。




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