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第15章 音楽の鑑賞と実技

「曲か・・・」

ピアノがおかれている防音室に入り、楽譜が並べられた棚を眺める。

連弾の曲は、ソロの曲に比べて圧倒的に少ない。
定番のものはよく知られている曲が多い。

（せっかくドレスも新しくしたし、お兄ちゃんも連弾だけならちょっと冒険してみてもいいよね・・・？）
そして私は4つほど選んでみた。

パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏（ラフマニノフ）
スラヴ舞曲 第10番（ドボルザーク）
モルダウ（スメタナ）
愛の夢 第3番（リスト）

基準は、曲を聞いたことがある人が多そうな曲
聞きに来てくれている人が、少しでも楽しめるように発表会の曲を選ぶ
そして、プリモ（第1パート）とセコンド（第2パート）の音域の重なりが多い曲
せめて、弾いてるときくらい普段より傍に・・・
もう一つの基準は、連弾に限り・・・なんだけど、明るくない曲。

どうしても兄が明るい曲を弾いているのをイメージできないから。
あと、切ない曲を弾いている兄をそばで見たい。

そしてこの4曲を眺めながら、ふと思い出す。
中学3年の時、兄が合唱コンクールでモルダウの伴奏をしたときのことを。