この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
難問 -兄妹の領域境界-
第15章 音楽の鑑賞と実技
「わかんねぇ」

佑人は、第一パートを弾いてみたが何もわからなかった。

(俺にとってモルダウは鬼門なのかよ・・・)

合唱コンクールの伴奏といい、今回のことといい。
トラウマレベルだ。

この曲を弾けば弾くほど刻み込まれる未由が離れていく感覚。
モルダウを作曲したスメタナが祖国のチェコに帰れなかったように、俺も未由のそばに帰れないなんてことにならないよな。

もう一度第一パートを弾いてみようと、ピアノに向かう。

交響詩「わが祖国」
ハープで奏でられる初めの源流の雫は未由の涙の粒をイメージしながら弾いた。
そして少しずつこぼれる涙の粒はやがてまとまり未由の頬を滑り落ちる。
それを見ることしかできない切なさを音に乗せて。

「クソッ」

弾き終わった後に残ったのは、より一層未由を失いたくないという哀愁。
哀愁こそがこの曲のテーマだしな。

(なぜこの曲を選んだ)

ほかの三曲も引けを取らないくらい、いい曲だった。
そういえば、なぜ4つの中からこの曲にしたかを聞かなかったな・・・。

「今更か」

残りの数日は、心の中の未由がそばにいたときのことをだけを考えながらほかのことが入る隙間がないくらい演奏に没頭した。
まるで、失った祖国がどれだけ美しかったかを思い出すスメタナのように。
/202ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ