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難問 -兄妹の領域境界-
第15章 音楽の鑑賞と実技
そして、いつの間にか私たちの番。
差し出されたてに、自分の手をのせる。
「さあ、行こう」
(えええええええ!手を持ったまま舞台に連れていかれちゃう・・・!)
どこのお姫様状態でピアノの前でお辞儀。
もちろん客席はざわついている。
そして私は鍵盤に向かって左側の椅子の高さ調整をはじめ、座ってペダルの確認。
兄は右側の高さを下げている。
さらにざわめく客席と、慌てている司会者
そりゃびっくりするよね・・・
(でも、不謹慎かもしれないけど、ワクワクする)
お互い見つめあいながらいたずらっ子のようににやりとする。
軽く深呼吸をし、膝の上の手をゆっくり鍵盤の上に置く。兄の手も視界に入る
目で引き始めの合図をしてくる。
初めのほうは、私はほとんど出番がない。
源流の初めはほとんど第一パートが担う。
近くで聴くことができる瞬間。
実際に目の前の楽器から音が聞こえてくる。
この楽器はこんなにも澄んだ綺麗な音が出せるものなんだ・・・
私は自分の出番がない短い間だけでも兄の表情を見てみたいと、視線を動かすと
(なんでお兄ちゃんが私を見てるの!)
あの水の流れの変化を、以前と比べ物にならないくらいの豊かな表現力で弾きながら私を見つめる。
切なそうな、愛しそうな・・・そんな目で見られるとどうしたらいいかわからなくなる。
少しずつ川の水の量とともに音が増え私も兄を見る余裕はなくなった。
ただでさえぶっつけ本番の逆のパート。
この連弾は、私の右手と兄の左手が近くなるどころか重ねて引く箇所が多数出てくる。
第二パートの手の上に第一パートの手が重なるように弾く。
いつもは自分が邪魔にならないように上によけていたけれど、
逆転したら兄の手に包まれているみたいな感覚。
この曲は・・・心臓に悪い
兄の右手と私の左手をクロスして弾くところもあったり、密着度高すぎ!
何とかミスなく弾き終えたどころか、私の苦手としていた強くひかなければいけないところを兄の音量の幅の広さで引き立てられた。
記憶の中の兄のモルダウは、一段と成長していて悩ましい兄の色気とともに私の記憶に刻まれた。
差し出されたてに、自分の手をのせる。
「さあ、行こう」
(えええええええ!手を持ったまま舞台に連れていかれちゃう・・・!)
どこのお姫様状態でピアノの前でお辞儀。
もちろん客席はざわついている。
そして私は鍵盤に向かって左側の椅子の高さ調整をはじめ、座ってペダルの確認。
兄は右側の高さを下げている。
さらにざわめく客席と、慌てている司会者
そりゃびっくりするよね・・・
(でも、不謹慎かもしれないけど、ワクワクする)
お互い見つめあいながらいたずらっ子のようににやりとする。
軽く深呼吸をし、膝の上の手をゆっくり鍵盤の上に置く。兄の手も視界に入る
目で引き始めの合図をしてくる。
初めのほうは、私はほとんど出番がない。
源流の初めはほとんど第一パートが担う。
近くで聴くことができる瞬間。
実際に目の前の楽器から音が聞こえてくる。
この楽器はこんなにも澄んだ綺麗な音が出せるものなんだ・・・
私は自分の出番がない短い間だけでも兄の表情を見てみたいと、視線を動かすと
(なんでお兄ちゃんが私を見てるの!)
あの水の流れの変化を、以前と比べ物にならないくらいの豊かな表現力で弾きながら私を見つめる。
切なそうな、愛しそうな・・・そんな目で見られるとどうしたらいいかわからなくなる。
少しずつ川の水の量とともに音が増え私も兄を見る余裕はなくなった。
ただでさえぶっつけ本番の逆のパート。
この連弾は、私の右手と兄の左手が近くなるどころか重ねて引く箇所が多数出てくる。
第二パートの手の上に第一パートの手が重なるように弾く。
いつもは自分が邪魔にならないように上によけていたけれど、
逆転したら兄の手に包まれているみたいな感覚。
この曲は・・・心臓に悪い
兄の右手と私の左手をクロスして弾くところもあったり、密着度高すぎ!
何とかミスなく弾き終えたどころか、私の苦手としていた強くひかなければいけないところを兄の音量の幅の広さで引き立てられた。
記憶の中の兄のモルダウは、一段と成長していて悩ましい兄の色気とともに私の記憶に刻まれた。