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難問 -兄妹の領域境界-
第20章 積まれたテキストと兄達の苦悩
「お疲れ」

寝てなかったのね、兄はソファーに横になったまま手招きする。
その体で横になられたら座る場所がないじゃないと思いながら兄そばに行く。
あ、そういえば聞かないと。

「そういえばお兄ちゃ・・・きゃっ」

突然手を引かれて体勢をが崩れる、倒れないように支えられいつの間にか兄の太ももの上にまたがる形で抱き寄せられる。
ちゅっと唇を軽く吸われる。
昨日から兄の行動に甘さを感じる。そんな一つ一つにドキドキさせられてしまう自分。

「何?」

あ、そうだ忘れるところだった。

「奈月が、本取りに行ったほうがいいですか?って」

「あぁ、没収のこと言ったんだ」

「そりゃ借りた身としては返せない理由を説明しないわけには・・・」

「もう返したよ」

「えっ?」

「和也に頼んだ」

「ええっ!?」

あの本を・・・だよね。
まぁ、中身を見なければ・・・

「内容確認して固る和也、超ウケた」

思い出したのか、笑いをこらえている。
え、じゃぁあの本の内容を知った上で和也さんから奈月に渡るの?
想像すらできない状況。明日ちゃんと奈月が学校に来るといいけど・・・。

「あの二人があの本を受け渡しする場面想像できないよ・・・」

「だろ?」

「だろ?って、二人とも気の毒すぎる・・・」

「未由に余計なことを教えようとしたからお仕置き」

「悪魔が目の前にいる気がするよ」

「未由が言ったんだろ?全部って」

確かに言った、言ったよ!自分でも信じられないけど。

「そう・・・だけど」

「全部頭に入れたから、手元に置く必要ない」

「えっ、全部読んだの!?」

「読まないと教えられないだろ」

ヤバイ、これ本当に全部頭に入れてる。
その頭脳もっとほかのことに使おうよ・・・

「よ、予習しておきたいかな」

結局読めてない、何が書いてあったの・・・!

「予習の必要は一切ない。それに俺がテキストの内容しか勉強しないとでも?」

興味をもったら徹底的に突き詰める兄を私は知りすぎている。
猫の前の鼠になった気分。

厄介な黒猫を招き入れてしまった・・・
そんな私は、奈月に聞いたことを伝えることを失念していた。
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