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難問 -兄妹の領域境界-
第20章 積まれたテキストと兄達の苦悩
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夕食とお風呂をおえて、炬燵で問題集解く。
本格的に受験勉強に取り組まなければいけない時期になってきた。

志望校は絶対に譲れない。もちろん兄と同じ大学。
絶対に落ちるわけにはいかない。

「おい、電話」

もちろん炬燵には猫がいる。

「え?」

私の携帯が机の上で震えていた。
手に取ると、発信者は奈月。

(あ・・・!)

急いで応答ボタンを押す。

「もしもし奈月?」

『ぅっ・・ううぅ・・・』

「え、奈月だよね?どうしたの?」

『未由ぅ・・ぅうっ・・』

ただならぬ様子に兄も心配そうに私を見る。

「奈月、泣いてるの・・・?」

『なんでぇ・・・兄貴が本』

「あー、ごめんお兄ちゃんが渡しちゃったみたい」

ちらっと兄のほうを見る。
何やら怪訝な顔をしているけど、お兄ちゃんやりすぎだよ。

『しかも、なんかすごく怒ってて・・・佑人さん兄貴に何言ったのぉ・・・』

「え、怒ってたの?和也さんが?からかったとかじゃなくて?」

さっきの兄の話からは、からかわれたり気まずいくらいは想像したけれど、怒る・・・?
兄も気になったのか携帯に近づいてきたので、一緒に聞けるように携帯をずらす。

『うん、見たことないくらいイラついてて、相当怒ってた』

私たちは顔を見合わせる。

「お兄ちゃんに確認して折り返すからいったん切るけどちょっと待っててね、すぐかけ直すから」

『うん…』

通話を切る。

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