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難問 -兄妹の領域境界-
第20章 積まれたテキストと兄達の苦悩
「奈月ちゃん?久しぶり。突然ごめんね、和也とのやり取り聞かせてもらっていいかな?」

『は、はい!』

「俺が和也に渡しておいて聞くのもあれなんだけど、どういう流れで受け取った?」

『ええと、兄貴が帰った時ちょうど私が玄関にいて、今日学校だって聞いてたから佑人さんが何か言ってなかったか聞いてみたんです』

「うん、和也はなんて言ってた?」

『・・・とても参考になったからお礼言っておいて言ってたって』

(ちょっと、和也さんに何言ってるのお兄ちゃんは!)

「ははっ、和也本当に伝えたんだな。一言一句そのままだよ」

『えっ・・・、お役に立てて光栄です』

(二人ともちょっと会話おかしいから!)

「その時和也はもう怒ってた?」

『その時というより、佑人さんの話をしている時からイライラしてたと思います』

「最初から・・・?うーん、その後どうなった?」

『お礼が何かよくわからなかったので、とりあえず早く返してもらいに行かないとって思っていつとかどことか言ってなかったか聞きました』

「まだ和也から受け取ってかったのか、それじゃぁお礼の意味もわからないな」

(ずっとわからなくていいよ・・・)

『そしたら、すごく怒りだしてデートの約束は自分でやれって言いながら本を渡されて・・・ぅっ・・』

『まさか、兄貴が持ってるなんて思わなくて・・・しかも中身・・・ぅっ・・・ぅぅ・・』

「あー・・・、奈月ちゃんごめん。完全に俺が悪い、和也にかなり勘違いさせた」

『勘違い・・・?』

「きっと和也は隠れて俺と奈月ちゃんが付き合ってるって誤解したんだよ」

(え、どういう展開でそうなるの!)

『えええ!?』

ポンポンと頭が撫でられる。たぶん会話を聞いた私が不安にならないためのフォロー。

「きっと、俺が和也に隠し事したから拗ねてたんだろ、しかも自分の妹が相手で」

(いやいやいや、和也さんと一体どういう関係なのっ)

『は、はぁ・・・』

「お詫びに本のことも含めて和也の誤解を解いておくから、安心して寝るといい」

『はい・・・ありがとうございます』

「じゃあ、未由にかわるね」

(ちょっと、いきなりキラーパス!?)

兄は私に電話を戻すと、こたつを出て部屋を出ていった。

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