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難問 -兄妹の領域境界-
第5章 命題の対偶
「まだ時間あるんだからゆっくり選ばせろよ」

「ダメだ、早くしろ」

「急かすなよ、それより俺お客様なんだからお茶くらい出してくれねーの?」

佑人は、ベッドに横になり動こうとしない。

「必要ない、すぐ出る」

「冷てーな・・・」

そういいながら、また本棚を眺めながら物思いにふける。
あんなに頑なに拒んでいた家に俺は今いる。
しかし、拒む理由になるようなものは一切なかった。
一つ言えるとするならば・・・・焦っている。
佑人が焦る?試合のどんな追い込まれた時ですら涼しい顔でプレイする奴だぞ?

俺は確信する。拒む理由は時間を稼げば明らかになる。

となれば、どうにか時間稼ぎをする必要がある。
どうしたものか・・・と考えようとしたその時。

ガチャッ

1階からドアの開く音が聞こえてきた。玄関だろうか。

「チッ」

舌打ちをしながら佑人が起き上がった。

「絶対部屋から出るなよ」

と言って、部屋を出て階段を下りていく音が聞こえる。
客でも来たのか?いや、インターホンが鳴ってないから親でも帰ってきたのか。
なんにせよ、それが家に来ることを拒む理由だろう。
佑人を焦らせるものを見れると思うと口元が緩む。

(出るなと言われると出たくなるもんなんだよ)

俺は部屋を出て階段を静かに降りていく。

「お前、なんでこんなに早いんだよ」

「え、や、びっくりした、お兄ちゃんも帰ってたんだね」

(お兄・・・ちゃん?)

そういえば、自分の妹の話はよくしたが佑人から親以外の家族の話は全く聞いたことがなかった。
途中からずっと一人っ子だと思っていた。

階段を下りると、佑人が妹と話しているようだ。ちょうど佑人が間に入って、姿はよく見えないが・・・。

「あれ、お客様?」

俺の気配を感じたのか、佑人の横から顔をのぞかせる。

「クソッ」

慌てて振り返った佑人は、俺の姿を見ると苦虫をつぶしたような顔で言い捨て、覗き込んでいる彼女を自分の後ろに隠そうとする。

「ちょっ、お兄ちゃん?」

「出るなって言っただろ」

「ちょっとお手洗い借りたくてね」

白々しい嘘だな・・・と思いながらも、拒む理由を見ることができ楽しくなってきた。

「もぉ、お兄ちゃん失礼だよ!友達?」

「あぁ」

それを聞いた彼女が、佑人の後ろを飛び出し満面の笑みで向かってきた。
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