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第9章 旅人算の4つの出題パターン

息を整え、軽いキスをしながら体を寄せ合う。

「で、どうしたんだい？」

「ええと・・・昨夜未由と温泉に入ったときに偶然首筋のキスマークを見つけてしまったの。
その時は、彼氏でもできたのかしら・・・って」

「うーん、未由に彼氏か。意外ではあるけどもういつの間にかそんなに大きくなったんだな。でもよくあの佑人の鉄壁を抜けたな」

といって、茉莉香の表情を見ると、さっきより難しい顔をしている。

「私の・・・勘違いであってほしいんだけど、でも勘違いにしきれなくて」

何かを言いたいのだろうけど、内容がよくわからない。

「もう少し順序立てて教えて？」

複雑な顔をしたと茉莉香が口を開く。

「今日、また温泉で一緒になって「そろそろ彼氏はできたの？」って聞いたのだけど、「全然できないよー」って」

なるほど、キスマークがあるのに彼氏がいないか・・・

「その時、見えてしまったの」

「見えた？」

「昨日と同じ場所に、明らかに鮮やかに「付け直されていた」の」

「・・・そうか」

（・・・・茉莉香の言いたいことは分かった）

「いつもは片側に寄せて髪を結んでいるから、隠れていたのね・・・」

ふと記憶をたどる。いつも後ろで髪を結んでいた未由がいつからか左側に寄せるようになっていた。
茉莉香のちょっとした変化に気づけないと拗ねられるため、女性の変化にはよく気付くようになった。
未由のその変化は・・・昔からではない。確か今年に入ってほどなくしてからだ。

（少なくともその存在を未由は自覚しているということか・・・）

跡つけたのは、おそらく・・・・いや確実に佑人だ。
とはいえ、今ここで考えうるパターンはいくつかある。

男除けのためにつけてもらって・・・か、
スキンシップの延長か・・・。
佑人の一方的な片恋で寝ている間につけたか・・・。
それとも二人は・・・・

この4パターン以外にも可能性は存在するだろう。

普段、少ない時間とはいえ二人を見ている限り仲は悪くないが恋人同士の雰囲気はない。
佑人が未由に対して過保護なのは昔からだが・・・まぁその原因を作ったのは僕だけど。

とりあえず、あの子たちは様子見だな。
それより、表情には出さないが不安に思っているだろう茉莉香のほうがよっぽど心配だ。
子供のことより茉莉香が大切って、大概俺も酷いな。