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難問 -兄妹の領域境界-
第2章 夏休みの宿題 別解
「ホントだ、あと一週間しかない・・・・・」

シャワーでぬれた髪をタオルでふきながら廊下を歩いていると、リビングから未由の声が聞こえてきた。

「宿題は全部終わったの?1週間なんてあっという間よ?」

「ううぅ・・・、まだ終わってない」

リビングの扉を開けると、母親に叱られ未由が椅子の上で足を抱えてうなだれる。

母親似の黒髪とは違う、父親に似たであろう色素の薄い茶色がかったセミロングの髪を左側で一つにまとめている。

「あっ、お兄ちゃんおはよー!」

今まで落ち込んでたとは思えない笑顔で、無邪気に挨拶をしてくる。母親も呆れ顔で未由を見ている。

「あぁ」

未由の隣に座りながら挨拶の返事を一応返す。
その声を聞いた未由はもう一度俺に笑顔を向けた後、機嫌がよさそうに置かれたパンにジャムを塗る。
母親は、あんたそんな不愛想だと彼女なんて作れないわよ・・・などぶつぶつ独り言とも取れないようなことを言いながら洗い物をしている。

用意してもらった朝食を食べながら、母親には反応せずぼーっとしながらも未由を一瞬盗み見る。
同じタイミングで未由も俺を見て視線があう。

パンを持っていないほうの手で、一回だけ優しく未由の頭をなでる。
すると、さっきとは違う大人びた優しい笑顔を残しまたお互い食事にもどる。

(俺も大概だな・・・・)

言葉で考えてはいけない自分の中に湧き出る感情。
そう思いながらも、自分の中から消したいとは思わないついさっき全身に巡らせたもの。

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