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難問 -兄妹の領域境界-
第14章 旅人算の答え合わせ
4人席で兄の隣だったけれど、視界に入らないのでほっとする。
料理が運ばれてくると、朝食とは思えないくらい豪華で思わず顔を上げる。

「おいしそう!」

たくさんの種類の料理が様々な器に盛られている。
と、その時父と目が合う。

「あれ、未由調子悪い?」

「え?あー、朝温泉で長湯しすぎたのかな。全然問題ないよ!」

不意の問いに戸惑いつつも何とか繕う。

「あまり無理するな」

今日初めて聞く声が隣から聞こえてくる。

なぜそんな優しい言葉をかけるの?避けてるくせに。
無理って何?昨日の夜の体の心配?それとも心の心配?

兄の言いたいことが理解できなかったことは、今まで記憶がない。
今の言葉と、そのひとつ前の昨晩の言葉以外は。

「うん」

何とか返事をする。声は震えてなかっただろうか。

そして、視界の端にはいる兄は浴衣ではなく洋服に着替えていた。

(あー・・・部屋に戻るつもりないんだな)

私を避けようと、計算しつくされた行動に心の感覚は麻痺していった。


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