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喰われる人妻 菜穂
第32章 喰われる人妻 菜穂(32)
「近藤さん、お飲物どうされます?お茶かコーヒーか、紅茶もありますけど。」
「あぁ、じゃあコーヒーで。ごめんよ、気を使わせちゃって。」
「いえいえ。」
「あれ?子供さんは?確か2人いたよね。今何歳だっけ?」
「上の子は7歳で小学1年生、下の子は4歳で今幼稚園に通ってます。」
「へぇ、もう小学生なのか、早いもんだね。少し前に小溝と菜穂ちゃんの結婚式があったばかりだと思っていたのに。」
「フフッ、本当ですよね、時が経つのってあっという間で。」
菜穂は近藤にコーヒーを出すと、ソファに腰掛けた。
「あの、近藤さん、それで私にお願いしたい事って……。」
「あ~そうそう、小溝から聞いたんだけど菜穂ちゃんパートの仕事辞めたって本当?」
「はい。」
「じゃあ今は専業主婦なんだ?」
「そうですね、先週から。」
「じゃあ丁度良かった。実はある事を天野部長に頼まれてさ。」
「天野部長に、ですか……?」
天野の名前を聞いた瞬間に、菜穂は不安そうな表情になる。
そして近藤はそんな菜穂を見ると、ニヤっと笑みを浮かべてこう話し始めた。
「そう。天野部長がさ、菜穂ちゃんに部長専属の秘書になってほしいって言ってるんだよ。」
「えっ、秘書ですか……?」
「もちろん秘書と言っても正社員のようにバリバリ仕事をする訳じゃないよ、時間的にはパートタイムの仕事と同じで遅くても夕方くらいまで。出勤はそうだなぁ、たぶん週に2日か3日くらいでいいと思うんだけど。どう?」
「どうって言われても……」
天野部長の専属秘書なんて、菜穂は嫌な予感しかしなかった。