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喰われる人妻 菜穂
第5章 喰われる人妻 菜穂(5)

移動中、天野は会社の話やゴルフの話、どうでもいいような自慢話などを隣にいる菜穂に話し続けていた。

そして菜穂は笑顔を作りながら、ずっとその話に付き合っていた。

「そうなんですかぁ!凄いですねぇ!」と返したりして、あまりわざとらしくならないように気を付けながら。

しかし出発してからしばらくすると、調子に乗り始めた天野は、またもセクハラまがいな事を菜穂に聞き始めた。


「ところで奥さんは今何か香水でも付けているのかな?」


「え、香水ですか?いえ、特には。」


「ほぉ、じゃあこれはシャンプーの匂いかな?さっきから奥さんの方から凄く良い匂いがするんで気になってね。」


そう言って、菜穂の髪の毛に鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ天野。

恋人でもない男にこんな変態チックな事をされたら、誰だって不快に感じるはず。

だが、今の菜穂はこの程度の事には怒ってはいられないのだ。

匂いだけではなく、ついには「それにしても奥さんは綺麗な髪をしていますねぇ」と言いながら髪を直接手で触ってきた天野に対しても、菜穂は嫌がる素振りを全く見せなずに我慢していた。
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