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喰われる人妻 菜穂
第5章 喰われる人妻 菜穂(5)
「やぁ奥さん!来てくれたんですね、嬉しいですよ。」
「あ、天野部長、おはようございます!」
天野に声を掛けられた菜穂は、智明と共にすぐに頭を下げて挨拶をした。
「まぁそんな堅くならずに、旅行ですから、息抜きのつもりで楽しんでいってくださいよ。」
「あ、ありがとうございます。」
天野は実に機嫌良さそうにしていて、菜穂に終始笑顔を見せていた。
「おい近藤君、私と奥さんは同じバスなんだよな?」
「はい、そうです。」
「ハハッ、良かったよ。それなら道中も飽きることなく楽しめそうだ。」
旅行中、この部長の機嫌を損なわないようにするのが私の役目。しっかりやらなくちゃ。
菜穂は天野に笑顔を返しながら改めてそう決心した。
出発時間になり、社員が次々とバスに乗り込んでいく中で、そこでも菜穂は天野に声を掛けられた。
「奥さん、私の隣の席が空いているんだが、どうだね?」
「え?あ、はい!ぜひ。」
「ハハッ、悪いねぇ無理強いをさせてしまったみたいで。社員は皆、私の隣には座りたがらなくてねぇ。いつも寂しい思いをしていたんだよ。」
「いえ、そんな。」
そう言って菜穂がチラっと智明の顔を確認すると、智明は少し心配そうな表情でこちらを見ていた。
でもだからと言って智明が口出ししてくる事はない。
これを断って、天野部長の機嫌が悪くなってしまっては元も子もないのだから。
結局バスの中で菜穂は天野部長と共に前方の席へ、智明は一番後ろの席へと誘導され、座った。