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喰われる人妻 菜穂
第3章 喰われる人妻 菜穂(3)
それからも話題は菜穂の事が中心だった。
大学時代やOL時代の事を色々聞かれたり、子供はもっと増やすつもりはないんですか?なんて事まで聞かれた。
採用に関しての話だと聞いてきたのに、智明の方には殆ど目もくれない。
「奥さんは腰がしっかりしてそうだし、へへ、もっと沢山子作りして、2人と言わずに3人4人と作ればいいのに。今は少子化だしな。近藤君もそう思うだろ?」
「ハハッ、そうですね。」
デリカシーのない言葉。
でも嫌な顔は見せらない菜穂は、頑張って笑顔を作っていた。
そしてそれからしばらくしてデザートが運ばれてきた頃に、やっと話は本題に入っていった。
「しかし大変だったでしょう、子供もいるのに旦那さんの会社が倒産してしまうなんて。」
「……そう、ですね。」
「今はどこも厳しい。小溝さんと同じように職を探している人間は沢山いるからねぇ。」
「そうですよね……。」
「うん。それでね、小溝さんの採用の事なんだけど、まぁうちも中途採用には今は消極的なんだが……今回は近藤君からのお願いだから、特別だな。」
そこまで聞いて、智明と菜穂の表情はパッと明るくなった。
「ハハッ、まぁ私もこの美人な奥さんの悲しむ顔は見たくないんでね、断ることはできないよ。だから小溝さん、とりあえず契約社員での採用という事でどうだね?」
しかし〝契約社員〟という言葉を聞いて、一瞬智明の顔が曇る。
本採用してくれるって話じゃなかったのか。
「契約……社員ですか?」