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虹の彼方で
第15章 5月ラストの通り雨
それから数日。

学校では、翼も私も互いを従兄弟として紹介していたせいか、

それほど大きなトラブルもなく。



(私は何人かから、翼宛のラブレターを仲介してもらうように頼まれたけど、翼も翼で「バスケに集中したいから、彼女いらない」って言ってくれって言うから、間でお断りする私は、気苦労が耐えませんでしたけれどね!)



バスケ部は、インターハイ前の地区予選が近づいてきたらしくて、

部活に本腰を入れる翼とは、共に下校することもなくなって……。

ようやく慣れてきた通学路を、

5月最後の日に、

私は、のんびり寄り道しながら帰ることにした。





私達の地元駅から、ヨツキタの駅までは、電車で3駅。

毎日、3駅分、ぼんやり立って外を眺めてただけだったけれど、

今日は、2駅目で降りて、1駅歩いてみようって思って。



目的の駅で列車のドアが開くと、少しわくわくした気分で、私はホームへ降り立った。



あ、駅前にスーパーがある。

その横は、花屋さんかな?

ケーキ屋さんとかあったら、何か皆に買っていきたいな…♪



そんなことを思いながら改札を出ると、どこからか、ほんわり、良い香りが漂ってきた。



「あれ? パン……?」



駅前ロータリーに出ると、周囲を見渡して、



「あ!」



見つけた!

地元方面に続く小道の横に、"Bakery"の文字を見つけて、

私はウキウキしながら、そのお店へ足を伸ばした。



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