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虹の彼方で
第16章 指は絡めたまま



階段を上がる間も、

廊下を歩いて、自分の部屋に入る間も、

落ち着かなくて、そわそわして……。



―――謝りは、しない



ジョニーさんの低く掠れた声が、耳から離れない。



「あぁ……」



暗い部屋の中、扉を閉めても、すぐ電気をつける気分になれなくて……。

ドアに寄りかかったまま、「はぁ」と溜息をついた。

目を閉じて唇に触れると、さっきのキスを思い出してしまう。



キス、……しちゃった。

私、ジョニーさんと……、キスを。

あんな格好いい人と……。



気持ちが整理できないまま、もう1つ長い息を吐くと、

唇に触れてた指をストンと横に落とし、肩の力を抜こうとする。

その手で、後ろ手に壁を探ってから

指先で見つけた電気のスイッチを押すと、

ベッドに座ろうとして、



「きゃっ……!!」



思いがけない事態に、私は兎みたいに飛び跳ねかけてしまった。



「よう」



「タ、クミ……」



ベッドの上に、胡座をかいて、

腕を組みながら壁によりかかっていたのは、

先に2階にあがったはずの、タクミだった……。




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