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虹の彼方で
第20章 内緒の計画
金曜の授業が終わって、走って帰ってきた私は、

靴をぬぐのももどかしい勢いで、

慌ててリビングに飛び込んだ。



「ただいま!」

「おかえり、美咲ちゃん」

「おう」

ジョニーさんとタクミが、リビングいっぱいに紙で出来た花を沢山あしらってる。

マサさんは、あと30分くらいで帰れるってメール来てた。

翼達は、今日は大会直前で、それほど遅くならないらしいし、あと1時間も余裕無いかも。

「私も、手伝いますっ」

メゾン・ド・クルール初のサプライズ。

明日から2日間、戦い続ける3人のために、私達は、ちょっとした壮行会をすることにしたのです。

楽しそうでしょ?

言い出しっぺはマサさんなんだけど、最初は全員、凄いノリノリだったの♪

でも、その企画の一部が分かった時、私とジョニーさんは猛反対して。

そこで、まさかの感じで、タクミがマサさんと結託して。

"家長命令"なんて単語を持ち出されて押し通されたことも、あったりなかったり。

その命令?も………、まぁ、多分、やるけど、最悪、ボイコットすればいいし。

とにかく、いつもよりも豪華な料理とか、部屋中を綺麗に飾るとか、そういう空気が既に楽しくて、私はカバンを部屋の端におくと、金色の☆型シールをカーテンに飾り立てた。





暫くして、帰宅したマサさんに、大きな袋を押し付けられる。

「美咲、試着しとけ」

「や、やだ! いやです」

「なんでだよ。別にエロいもんじゃねーし、お前の制服と、それほど変わんねーだろ」

「うーそ! マサさん鼻の下、伸びてません?」

「伸びてねぇよ、失礼な奴だな。中身、見て言え」

「じゃ、中身見たら、凄い言いますからね!」

「おー、こえぇ」

苦笑しながらネクタイを片手で引き抜くと、「ちょい着替え」と2階に上がるマサさんに、私もはっとして自分の格好を見た。

「私も、部屋着に着替えてきます!」

「美咲」

慌ててリビングを出ようとした私をタクミが呼び止める。

「?」

「それ。そこに置いてったら、まずいだろ」

「あ……」

無視したいっていう、無意識下の願望が出ちゃったのかな……。



私は、タクミが指差した、マサさんからのお土産―――チアリーダー風の衣装―――が入っているであろう紙袋も持つと、2階へと階段を駆け上がることにした。





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