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虹の彼方で
第20章 内緒の計画
「何飲む?」
「ビール」
「は? 翼、未成年でしょ?」
「いいじゃーん」
「美咲さん、十神さんが飲むなら僕も飲みます」
「ちょ…、駄目駄目! 夏樹君、そこライバル意識いらないって」
「美咲ちゃん、ジンジャーエールのペットボトル、後ろに置くね」
「ジョニーさん、ありがとうございます」
ドリンク一つで、もう、この騒ぎ。
もちろん未成年にアルコールなんて飲ませないけど、
皆、いつもよりテンション高いし、
食事は美味しいし、
合間にバスケットの話すれば盛り上がるし。
バスケなんて、体育の授業でしかやったことないけど、
でも、
分からないことがあれば、皆が教えてくれるし。
ほんとに楽しい時間で、
だから、不意にマサさんが私に「美咲」と声をかけてきた時も
私の顔は、スマイル販売してる某ショップの店員さんよりキラキラ笑顔だったと思う。
「はい?」
「お前、そろそろ、あれだろ」
……へ?
それ、あれでしょ?
チアガールしてくる、アレでしょ?
「や……、もう、十分盛り上がったし」
「だから、最後に盛り上げんだろうが」
「ん? マサ兄、何?」
あああああ、ワンコよ。そういうのは聞こえなくて良いのに…!
「美咲がな、お前らを元気づけるっていうな?」
「ちょっ……、マサさん!」
慌てて止めようとするけど、もう、その時には場の皆が私に視線を向けていて。
こっそり断って、こっそりボイコットしたかったのに、マサさん声が大きいんだもの!
首を傾げる翼の、純粋ぶった瞳が、なんだか辛い。
「美咲。はやくしろよ」
どうしようかと腰が引けたところで、タクミが挑発的な笑みを浮かべて駄目押ししてくる。
言い返そうと思うけど、事情を知らない夏樹君と春樹君までもが、私を見つめてるし。
せっかくの壮行会に水を差すのもアレだし。
コンマ数秒、むくれかけてから、私も覚悟を決めることにした。
まぁ、応援したいのは変わらないし。
可愛い格好できるのは、ちょっぴり楽しくもあるし。
「ちょっと、待ってて」
3人に声かけると、マサさんとタクミを軽く一睨みして。
微かに火照る頬に片手をあげながら、
一旦、私は、その場を離脱した。