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虹の彼方で
第20章 内緒の計画
数分後。
階段を降りてくる複数の足音に、私達は目を見合わせて微笑みあう。
3年連続スタメンの翼と、今年スタメンになった山城兄弟。
3人ともシード校スタートだけど、全国に行けるのは、どちらかだけ。
どっちが勝っても負けても悔いのない戦いになればいいよね…!
握りしめたソレに、「3人とも頑張って…」と祈った瞬間、
扉が開く音と、「めしー」という翼の声がして、
私は、
私達は、一斉に、その紐を引いた―――!
パンッ―――☆
パンッ☆ パンッ☆
握ったクラッカーから、可愛い破裂音とカラフルな紐が飛び出して、
部屋の空気が、また、くるくるっと楽しくなった気がした。
部屋に入って目を丸くしてた3人が固まって、
それから、不意に笑顔が浮かんで、
その空気が伝播してく。
「うっわ……、なに、これ……!」
最初にテンション上がるのは、やっぱり翼で。
でも、意外に、次に目を丸くしてたのは、春樹君だった。
いつもの眠そうな顔と違って、面食らって部屋の中や料理をキョロキョロしてる姿は、
キモチが伝わってきて、どこか夏樹君に似てる(当然なのだけど)。
そして、夏樹君はというと、喜ぶというより感動してるのかな?
目尻が少し下がってて、初めて見る柔らかい笑みを浮かべてて。
「お前ら、明日明後日は地区予選だろ? ちょっと上手いもん食わせようってな」
「うわ……、マジかー! 唐揚げ食いたい!」
翼ってば、既にお肉にロックオンしてる。
「ソファ、座ってよ。主役なんだから」
笑いながら翼と双子君に声をかけると、3人とも三者三様のリアクションしながら、ソファに腰を下ろす。
うまくいって良かった。
クラッカーは紐ごと床に放置して、とりあえず、私達もソファやクッションに腰をおろすと、食卓を囲む。
目が合ったジョニーさんも、タクミも、マサさんも、幸せそうな顔してて、本当に家族みたい。