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虹の彼方で
第21章 ときめきのエール
* * *
それから、
一つ深呼吸して、漸く立ち上がった私は、
翼と双子君の3人に「頑張ってね」と激励して、一礼すると、
「コスプレは終わり」と宣言した。
マサさんには、「お酌しろ」とか「サービスしろよ」とか茶化されたけど
「通報しますよ?」と言い返して、リビングを後にする。
締まりかけた扉の向こうから「次はミニスカポリスで」と笑う声を聞きながら、
「絶対にやらないし」と唇を尖らせつつ、自室に戻る。
急いで部屋着に着替えながら、
でも、脱いだ服を畳んで袋に入れながら、
なんだか嬉しそうだった3人の顔を思い出していた。
滅多に笑わない春樹君が、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ笑ってた気がする。
「まぁ、気のせいかも、しれないけど」
紙袋に衣装とボンボンを入れると、少し考えてからクローゼットの下段に入れた。
最初は、着終わったら捨ててやると思ってたけど、
まぁ…、保留にしても良いかな、と…。
や、可愛かったからよ? その、衣装が…!
誰に言うわけでもない言い訳をしつつ、部屋の鏡で、もこもこパジャマに着替え直した自分をチェックすると、
「よし」
一つ頷いてから、急いで1階へ戻る。
時計を見たら10時半を過ぎてた。
そろそろ、お開きかな。
いよいよ明日だもんね♪
リビングに戻った私の姿に、一様に、残念そうなリアクションを取る皆をスルーして
私は、端っこのビーズクッションに座ると
「皆を励ますために着たんだからね? もう着ないから」と
改めて念押しした。