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虹の彼方で
第5章 バスタイム

シャワー室は1畳ほどのスペースで、「普段それほど使われない」と言われてた割には、清潔感があった。

ほら、それこそ、男所帯だもの。

カビとか、湯垢とか、あるかなー?って思ったんだけど、全然、綺麗で。

シャンプーとかリンスも、「本当に男の園なの?」って言いたくなるくらい、良い香りで、しかも割りと高級そうなボトルが揃ってたから、ちょっとびっくり。



バス停から坂を登る時に、ちょっと汗ばんじゃったから、寝る前にシャワーは浴びたくて。

食後にマサさんに「シャワー室、借りたいです」と相談したら、「好きに使え」とバスタオルを渡してもらったから、喜び勇んで2階に上がった。

……一応、金髪を刺激しないように、階段を上がりきったら息を殺して自分の部屋に入ったけど、部屋に荷物を下ろしたら、少し肩の力も、抜けたかな。



シャワーの温度を調節しながら、肩を軽く揉むと、ついでに疲れの溜まった足もマッサージしとく。

ぶつけた脛が、少し赤黒くなってたけど、この感じなら明日には良くなりそう。

あの、王子様みたいな人が目の前にひざまずいてくれたことを思い出したりしつつ、のぼせないように、素早くシャワーを済ませる。

大きな姿見サイズの鏡に自分の身体を写して、最後に顔を洗えば、髪を絞ってから、ふっと息を吐いた。

浴槽につかれなくても、十分きもちいいし、生き返ったー!



扉を僅かにあけてバスタオルだけ外のカゴから引き寄せると、軽く身体を拭いて、バスタオルを胸に巻きつける。

流石に、この格好で自分の部屋に戻れないから、ちゃんとジャージも持ってきております。

抜かりなし、私。



自分で自分を褒めながら、ジャージを確認しようと両手で服を掲げる。

あ、これズボンの方だ。

じゃ、こっちが上かな?






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