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虹の彼方で
第6章 歓談

ベッドの上にはボストンバッグから取り出した化粧品と洋服が散らかってたので、「ちょっと待って」と声をかけて、適当にまとめて机にどかす。

「床よりベッドの方がいいでしょ?」と尋ねると、「うん」と、振り返らなくても分かるような喜び満面の声で答えが帰ってきた。

「じゃあ、待て、ね?」

犬の躾みたいに言いながら、ざっとベッド上を片付ける。

振り返ると、「わんわん」と緩く返事しながら、腕を組んで壁に寄りかかってる翼がいた。

笑みを深めた口元に、さっきまで気付かなかったエクボが見えて、不意に胸がトクンと疼く。

一瞬、見とれかけた私に気づいてるのか、翼が首を傾げた。

「わんわん?」

組んだ腕を解くと、右手でベッドを指差してる。

あ、うん。

ごめん、準備できたできた。


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