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虹の彼方で
第7章 2時のココア
気づいた時には、温かくて気持よかった。
背中の辺りがほんわかして、胸の辺りがキュッとする。
時々、うなじが甘くくすぐったくなって、ふわふわとキモチイイ…。
「ん……」
鼻を鳴らしながら横向きの身体を少しだけ仰向けに近づける。
背中の温もりが、胸に回した手を一瞬とめてたけど、私の身体から力が抜けると、その指が、また動いて……。
また、動いて……?
「えっ……ひゃっ、んっ!」
キュッと胸の先をつままれた瞬間、事態が飲み込めてない脳を置いてきぼりにして、身体だけがビクッと素直に反応してしまった。
「え、……や、…だ、何? ……ん、ぁ」
暗闇の中で、何も見えない私の顔を、頭上から抱え込むように横に向けた、その人は、狙いを外すこと無く、不意打ちで唇を塞いでくる。
頭が、うまく働かない…、ここ、どこ?
私、どうして……―――?
「あ……、っん……、ふ」
触れた唇の間を舐められて、酸素を求めるように開いた隙間から、舌が潜り込んでくる。
あー……、舌だ。
と思ってる間に、その生温かい感触は私の舌に絡みついて、時々吸い付いたり撫でたりしながら、あやしてきた。
あぁ、これ、夢、かな……。
夢、かも……。
だって、私、寝る前には部屋の鍵を閉めようって思ってたし、事実、寝る前に鍵は締め……
て、ない――――!?
「んっ! ぁッ!」
はっとして、寝る前の出来事が一気にクリアになった瞬間、胸を触ってた手が、ずるっとお腹を滑り降りてジャージのゴムの中に潜り込んだ。
「っや、めてッ!」
これは現実!
そう気づいた私は、両手で誰かの肩をがむしゃらに押しのけると、バッと身体を起こした。
闇に慣れ始めた目が、誰かがベッドから床に落ちかけるのを何とか認識したけど、心臓がドクドクして、とにかく、ここにはいられなかった。
逃げなきゃ……!
どこかに、逃げなきゃ……!!
パニックで泣き出しそうになるのを堪えながら部屋を飛び出した私は、急いでマサさんの部屋へ駆け寄った。